題名:つぶあんとこしあん、そしてさらしあんの違い
報告者:エコノ
意外と奥が深いあんこの世界である。もちろん、都はるみさんの名曲「アンコ椿は恋の花」の”あんこ”ではなく、深海魚の”あんこ(う)”でもない。小豆などの豆からつぶした饅頭などに使い材料の”あんこ”である。漢字で書くと、”餡子”となる。「アンコ椿は恋の花」も深海魚のあんこ(う)も、そんなことは駄洒落であるとして分かっているも、実は意外と知られていないのが、あんこの知識である。ちなみに、アンコ椿とは、そのような名のツバキを指すのではなく、若い娘(あねっこ)から来る方言である1)(これも意外と知らなかった)。
あんこの種類として、少なくとも店頭にはつぶあん、こしあんと並んでいることが多い。その名からこれらについてはなんとなくイメージがつく。つぶあんは、つぶがあるのであろう。こしあんは、つぶしたものではなかろうか。しかしながら、時折、同列にさらしあんなるものもある。これらの使い分けができなければ、和菓子作りにとって致命的なミスともなりうる。そこで、本報告書では、これらの知識を詳細に調べ、今後の和菓子作りへの礎としたい。また、一般的にあんこは小豆を主体とするが、白あんのようにインゲン豆やずんだのように枝豆を用いたあんこも存在する2)。ここでは、あくまでも和菓子のあんこといえば、自動的に小豆のあんこを指すとされることから3)、小豆でもって説明したい。
まずつぶあんであるが、小豆の皮を破かないように茹でて、この生あんに甘味を加えて潰さぬように練ったものがつぶあんとなる3)。一方、こしあんは、小豆を茹でて漉した後に、甘味を加え練り上げる。やはりこしあんは、漉す工程が入ることが特徴となる。さらしあんは、というと、単純にその工程は、①小豆を煮てすり潰し、②布さらしをして、③表皮を取り除き、④さらに水晒しをして、⑤水切りをし、⑥乾燥させ、そしてさらしあんとなる4)。この工程の①~③まで終了すれば、それがこしあんとなる4)。しかしながら、購入者側の一般的なイメージとして、文献4)に記載されているように、こしあんを買いに来たお客に対して、さらしあんを勧めたところ、「私は、「こしあん」が欲しいと言っているの。聞こえなかったかしら? それと、「こしあん」と「さらしあん」違うものよ。もう、いいわ。知らない人に何を言っても無駄ね。他で買うわ。」という事態にもなりかねない。
このようなさらしあんであるが、処理工程が多いことからも分かるように、ひと手間がかかっていることから、灰汁の少ない味となり、高級和菓子などに使われるのが特徴となる4)。高級和菓子の素材で、なめらかなあんこがあったとすれば、それはつぶあんではなく、さらしあんで作られたあんこの可能性が高い。実際に、今回さらしあんの一つで、白玉粉などの粉を中心に扱っている川光物産の「玉三さらしあん」を使用して、きな粉のあんこ玉を作った。それが図になる。非常においしかった。さらに「玉三さらしあん」を作っている最中も鍋の中であんこがとろとろとしている状態を見ると、まるでチョコレートのテンパリングのようで、「これって、和風テンパリングじゃないの」と妙に感動できる。
図 きな粉のあんこ玉
1) https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1217843597 (閲覧2018.5.27)
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/餡 (閲覧2018.5.27)
3) https://temaeitamae.jp/top/t8/Japanese.sweet/1.html (閲覧2018.5.27)
4) https://plaza.rakuten.co.jp/kanbutu2/diary/200907300000/ (閲覧2018.5.27)