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題名:ミルクチョコレートのような時間
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.1926の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 伊香保温泉でのクミちゃんとの逃亡旅行から、ちょうど1年と3か月ぐらい経っている。もし、もし仮に、もし、あの時にできていたのなら、その子どもは生まれて5か月ぐらいの計算になる。
 どかどかどか…、きょぇー、パリ――ン…
(オスカル、百発百中ね…。すごいじゃない)
 どかどかどか…、きょぇー、パリ――ン…
(そうよ、オスカル。すごいわ、さすがダリオくんの子ね)
 どかどかどか…、きょぇー、パリ――ン…
 ふとクミちゃんの喜ぶ声が聞こえた。同時に脳裏にクミちゃんとヒヨコの並んでいるイメージが浮かんだ。クミちゃんは、愛おしそうにブリキの太鼓をもっているヒヨコの頭をなでていた。これは、これは、本当に僕の子どもなのか、なのだろうか?
 ヒヨコの名札には、”くっくどぅーどるどぅ”と書かれてはなく、”ワカモト・オスカル”と書かれている。
 Not ”くっくどぅーどるどぅ”, He is ”ワカモト・オスカル” made by ダリオ. (あなたの子なのよ)
 あるいは、クミちゃんとの伊香保温泉での大浴場の出来事も、脳裏に鮮明に浮き出していた。

 溶け合う肌、
 もれる吐息、
 見つめ合いつつ、
 そして、接吻。
 限りなく甘いひと時、
 それは上質なミルクチョコレートのような時間だった。

 Baby, I’m gonna kiss ya, I’m gonna hold ya
 Gently caressing on your body
 Baby, we can do whatever you like
 Gonna make you love tonight

 僕はそのTonight1)の場面場面を思い出し、いささか赤面した。シズコにもきっとばれている。
 (あの時、できたんだ…)
 シズコは僕の方をじっと見て、こういった。「あなた、覚えてる。随分と前にこう書いているじゃない。{ここらへんで、生むよう、生むよう、生まれるよう…。おぎゃーおぎゃー。ついに生まれた。玉のような赤ちゃんだった}って。当たってたの、すでにその時点でね。もうそれは、問答無用なの」

1) https://genius.com/Joe-tonight-lyrics (閲覧2020.12.29)



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