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題名:山椒(サンショウ)って何ザンショ?
報告者:トンカツる

 まさにダジャレ的な、いや、的ではない、ダジャレそのものの表題ではあるが、意外と知られていないのがこの山椒(サンショウ)ではないだろうか。料理にも使われるが、一般的な料理というよりも、料亭や、やや庶民的な雰囲気からかけ離れたお店でよく用いられることが多いのが、この山椒かもしれない。そのため、コンビニなどの弁当などでは直接ほとんど使われることがない。ただし、場合によっては、薬味として七味唐辛子などに含まれていることもある。
七味唐辛子の主原料は唐辛子でもあり、一味唐辛子はその名の通り、それから他の薬味を除いた唐辛子のみの薬味となるが1)、七味唐辛子は副原料として、山椒、麻の実、黒胡麻、陳皮、紫蘇、芥子、青海苔、生姜が使われている2)。その分量や配合は地方差があるも、三大老舗の唐辛子である、やげん堀、七味家、八幡屋礒五郎(八幡屋礒五郎七味)にも共通して山椒が含まれている2)。このことから、山椒の大きな役目は薬味にあろう。なお、薬味の単体としては、ウナギのかば焼きにも使われる3)。
 文献4)によると、山椒はミカン科サンショウ属の落葉低木になる実がそれにあたる。図に山椒の木を示す。この葉をみて分かるが、実だけでなく山椒の葉も時には利用される。例えば、高級な豆腐や、魚の焼き物、煮物の彩りなどの上にはこの葉がのっていることもあるので3)、この図を見てふと気が付かれた方もいるであろう。
 山椒の成分として、辛さの成分はサンショオールとサンショアミドいう物質により、香りの成分はジテルペンやゲランオール、シトラールが担う3)。この中でもサンショオールは近年、その効用に注目が集まっている。サンショオール自体は1931

図 山椒の木5)

年に日本の村山義温博士、篠崎好三博士によって命名され、その時にはすでに清涼の中に鈍麻の感を舌頭に與ふることが発見されていたが6)、その不思議な機構がカリフォルニア大学のDiana M Bautista博士ら7)によって明らかにされた。彼女らによると、山椒には麻酔感受性の阻害を含む独特の機構によってニューロンを興奮させ、9Vバッテリーの端子に舌を触れる経験に似た独自の精神物理的効果を与える。その効果の結果、感覚ニューロンの活性化を促すとしている。すなわち、山椒によって味覚が増すのである。このことから、山椒を摂取すると味覚を増すザンショ、であることが分かった。

1) https://ja.wikipedia.org/wiki/一味唐辛子 (閲覧2017.10.15)
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/七味唐辛子(閲覧2017.10.15)
3) https://www.alicey.jp/article/45502 (閲覧2017.10.15)
4) http://taberugo.net/536 (閲覧2017.10.15)
5) http://www.geocities.jp/yamapon65/tisantisyou_sansyou.html (閲覧2017.10.15)
6) https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi1881/51/5/51_5_384/_pdf (閲覧2017.10.15)
7) Bautista DM, et al.: Pungent agents from Szechuan peppers excite sensory neurons by inhibiting two-pore potassium channels. Nature neuroscience 11:772-779, 2008.



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