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題名:パンデミックな状況から逃げ切るには?
報告者:トシ

 本報告書は、基本的にNo.354の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 先の報告書のNo.354にて、”ネズミ算”に基づいてゾンビウイルスの増殖率について検討した。その結果から、5日以降は爆発的にウイルス感染者が増加することが示唆され、”ネズミ算”の計算上では、8日ではすでに11529602人が感染している可能性が示唆された。2015年時点で最も人口が多い東京都は、13515271人であることから1)、”ネズミ算”に基づいたゾンビウイルスの増殖率の検討からでは、8日目ですでに都民の85%が感染していることとなる。すなわち、8日目では10人に8人近くはゾンビ様の症状を呈しているのである。ちなみに、7日目の感染者数は、1647086人であることから、都民の人口比で50%の確率で逃げ切れるのは、7日目~8日目までの間に逃げ切ることが必須となる。そこでの判断を誤った場合には、ゾンビ様の症状を呈する覚悟はやむを得ないであろう。
 Wikipediaのゾンビ映画の一覧によれば2)、現在までのゾンビ映画は有名無名、国内外問わずカウントすると、319本存在する。そのうち183本は製作国がアメリカ合衆国である。すなわち、57%以上がアメリカ合衆国で製作されていることになる。その中には、映画「ワールド・ウォーZ」のように、やや深刻にウイルス感染を扱ったような映画も近年は増えてきた。その背景には2001年9月11日におけるアメリカの同時多発によるテロ事件の影響もあるに違いない。No.354で記した軍事目的による細菌兵器や生物兵器によるゾンビ的な症状のウイルス開発も、やはりその背景に含まれるであろう。そのため、当地ではゾンビをただの映画やTVの扱いとはせず、明らかな研究の対象ともなっている。アメリカ合衆国のコーネル大学のAlexander A Alemi博士による論文「You can run, you can hide: The epidemiology and statistical mechanics of zombies (逃げろ、隠れろ:ゾンビの疫学と統計技法)」3)は対象をゾンビと仮定しつつもパンデミックな状況での研究として、また、それに先立ち、ゾンビの感染について数学モデルを構築したカナダのカールトン大学のPhilip Munz博士の論文4)もその良例である。報告書のNo.354は、単純に”ネズミ算”に基づいてゾンビウイルスの増殖率を検討したが、Alemi博士やMunz博士は、S: 非感染者、Z: ゾンビ、R: 死者とする疫学の基本モデルを利用したSZRモデルを導入し、ゾンビウイルスの増殖率を検討した3), 4)。その結果から4ヶ月後にはアメリカ合衆国全土にウイルス感染が広がったが、人口密集地を抜けて都市圏から離れると、感染者数が増えなかったことを報告している3), 5)。さらに、ロッキー山脈のあるモンタナ州・ネバダ州には、ゾンビが到達していなかったことも報告している3), 5)。このことから、人口が密集していない、かつ、ゾンビが移動しにくい地形の地域に対しては、比較的ウイルス感染から逃れ切れることが予想される。

1) http://uub.jp/rnk/p_k.html (閲覧2016.11.28)
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/ゾンビ映画の一覧 (閲覧2016.11.28)
3) Alemi, AA., et al.: You can run, you can hide: The epidemiology and statistical mechanics of zombies. Physical Review E 92: 052801, 2015.
4) Munz, P. et al.: When zombies attack!: Mathematical modeling of an outbreak of zombie infection. Infect. Dis. Model. Res. Prog. 4: 133, 2009.
5) http://sign.jp/cb744f0f (閲覧2016.11.28)



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