題名:ベルギーチョコレート界の事情
報告者:トシ
世界の中で最もチョコレートの消費の多い国といえば、たぶんベルギーになろうか。そこで、調べてみると、なんと驚くべきことに1人の1年当たりの消費量1位がルーマニアで15.4kg、2位がドイツの11.3kgとあり、10位までにはベルギーがなかった1)。ちなみに、ベルギーは11位の5.0kgで、日本は20位圏外の2.1kgであることが分かった1)。ただし、チョコレートの質へのこだわりに関していえば、ベルギーは上位に位置するかもしれない。それに関するデータはなかったものの、チョコレートの中でもベルギーチョコレートは別格として鎮座していることは間違いないであろう。ただし、’90年という少し遡ったデータによると、1人あたりの平均消費量は74kgとケタ違いの値もあった2)。正確に正しいデータがどちらかは明らかではないも、消費と生産を合わせるとやはりベルギーが世界トップに位置することを暗示しているのかもしれない。
ベルギーチョコレートのユニークな点は、①繊細な作り、②高いカカオ含有量、③カカオバターのみ使用、④厳選されたカカオ豆、⑤ベルギーチョコレート業界の多様性、⑥創造力豊かなチョコレート職人たち、⑦チョコレートに関連するマルチ体験、⑧チョコレート業界規約成立、⑨ベルギーチョコレート業界が誇る輸出量、にある2)。⑨に関しては、報告書のNo.196でも示したように、バリーカレボー社も一役買っている。④に関しては、かつてのヨーロッパにおける植民地とも関係が深い。チョコレートの多くは、もともと南アメリカのカカオ豆が、フランス・イギリス・ドイツなどのヨーロッパの諸国によって、統治する南アフリカの国々で独自にカカオの木を育て始めたことに由来する4)。その結果として、さまざまな産地のカカオ豆が誕生した4)。ちなみに、ベルギーが統治していたアフリカのコンゴは、カカオ栽培に適さない地域であったが、フランス・イギリス・ドイツといった近隣諸国が統治する国々からカカオ豆を仕入れ、色々な地域からのカカオ豆をミックスして生産し、その結果としてチョコレートの味に深みを生み出した4)。その流れからであろうが、最高品質のカカオ豆しか使用しないのが、ベルギーチョコレートの伝統となる3)。
一方、⑤のベルギーチョコレート業界の多様性、⑥の創造力豊かなチョコレート職人たちに関しては、日本では知名度が高いゴディバ(Godiva)が想定される。しかしながら、Godivaはベルギー国内では10年前にトルコの会社の子会社で、その名はベルギー創業だけのようである5)。さらに、ベルギーに住んでいる方の意見によれば、ベルギー本国ではヴィタメール(Wittamer)という店の方が有名とされる5)。直接ベルギー人の方に伺った意見では、こちらもGodivaではなく、レオニダス(Leonidas)が一択とされる6)。Wittamerのショコラ サンバを図に示す。確かに、これならば納得がいく。ちなみに、これはヴィタメールの代表作とされる7)。
図 ショコラ サンバ7)
1) http://info-graphic.me/life/338 (閲覧2017.10.17)
2) http://www.nihongo.com/shopping/chocola1.htm#chocolate (閲覧2017.10.17)
3) http://www.visitflanders.com/ja/themes/belgian_chocolate/what-is-belgian-chocolate/ (閲覧2017.10.17)
4) https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1249044537 (閲覧2017.10.17)
5) http://www.tokyo-europe.com/entry/2017/10/17/113221 (閲覧2017.10.17)
6) https://yossense.com/belgian-chocolate/ (閲覧2017.10.17)
7) https://www.wittamer.jp/products/chocolat_samba.html (閲覧2017.10.17)