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題名:火星に住んでいる宇宙人はタコ型である、と認識された起源
報告者:トシ

 タコ型宇宙人は、今や古典となったH・G・ウェルズの1897年のSF小説である「宇宙戦争」に登場する宇宙人の一種である。小説内では火星からやってきたトリポッド型の宇宙人とされているために、実際は3本足のタコ型とも認識される。その小説をベースとしたスティーヴン・スピルバーグ監督による映画「宇宙戦争」でも、3本足のタコ型の宇宙人のマシンの様子が拝見することができるので、何となくイメージがつく人も多いかもしれない。映画「宇宙戦争」では、最後にマシンから宇宙人本体が出てくるのであるが、それは少しタコ型とは異なっている。詳しくは、「war of the worlds 2005 alien」などと検索すれば、その映画での宇宙人本体が拝見できる。しかしながら、ウェルズ氏の1897年発表時の「宇宙戦争」の挿絵、特に1906年当時に発刊されたフランス語の豪華大型フォーマット版の挿絵を描いたアーチストのアルビン・コレア氏のものによれば、図に示すように宇宙人本体は、明らかにタコ型宇宙人とされる。とても素晴らしい挿絵である。しかしながら、コレア氏は1910年に34歳という若さでこの世を去り、事実上、この小説での挿絵が最後の正式な作品となったようである1)。ただし、ウェルズ氏もとても気に入った挿絵だったことも伝えられている1)。
 このように火星に住んでいる宇宙人がタコ型である、と認識された起源は、1800年末から、1900年初にかけてのこの時代にあるのかもしれない。むろんコレア氏の挿絵の影響もその認識の一部であったことが容易に推定される。さらに調べると、ウェルズに先立ち、天文学者のパーシヴァル・ローウェル氏が、火星の運河の観察から、火星に高度な文明をもった生物が存在すると結論付けたことで火星人説を提唱し2)、1895年に「Mars(火星)」3)、1908年に「Mars as the Abode of Life(生命の居住地としての火星)」4), 5)を記している。このことから、ローウェル氏の「Mars(火星)」に着

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図 アルビン・コレア氏による挿絵1)

想を経て、ウェルズ氏が「宇宙戦争」を記述した経緯もよく分かる上に、ローウェル氏は、「運河があるということは、知的生命体が居る筈だ。その生命体は地球の人類よりも知能が発達しているに違いない(だから脳は巨大である)。火星は重力が弱いから体を支える脚は細くても問題ない(長い触手で頭を支えることができる)。空気は薄いから肺は大きいはずだ。」6)という論法で、火星人を思い描いていたようである。まさにタコ型宇宙人の発想に至る論法でもある。

1) http://www.thehistoryblog.com/archives/36376 (閲覧2016.11.14)
2) 涌井隆: パーシヴァル・ローウェルは日本人と火星人をどう見たか. 国際シンポジウム「異文化としての日本」記念論集:異文化としての日本. p53-62. 2008.
3) https://archive.org/details/marsflagstaffph00lowegoog
4) https://archive.org/details/marsabodeoflife00loweiala
5) http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Labo/6989/PercivalLowell.htm (閲覧2016.11.14)
6) http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1022411410 (閲覧2016.11.14)



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