題名:「Tus ojos, mis manos」から受けるセンス
報告者:アダム&ナッシュ
画像から受けるイメージは強く、それによって直観的に何かがひらめく。それが画像のよい所でもある。SNS(social networking service)の中でも、Instagramは画像に特化したSNSでもあるが、Instagramが流行る背景には、このような画像がもつ良さが活かされているからに他ならない。文献1)にもあるように、GENKINGさん曰く、Instagramは検索することで言葉より画像が表示される。ハッシュタグは別として、基本的に文字がなくとも、特徴とするスクエアの画像(*)で映えることが、Instagramの秘訣でもある。所謂インスタ映えである。ただし、テンプル大学のLauren Sherman博士によれば、Instagramに類似した方法で自分の写真に「いいね!」がついているのを見た若者は、脳の、特に「側坐核」と呼ばれる脳の報酬系回路をなす部分の活動が活発になることが指摘されている2)。これは、ある意味、脳の快楽であるという2)。そのため、依存しやすくなることもあり、やはりインスタ蠅にならないよう注意しないといけない。
一方、その他のSNSのFacebookやTwitterは文字を特徴とする。画像もあるが、画像のみでFacebookやTwitterを利用する人はほとんどいないであろう。ただし、その文字に関して、画像は直観で何らかの理解が得られても、文字は把握するまでには読解が必要となる。他の国の言語はもちろんのこと、自国の言語で投稿した文字と読解との間でも乖離が産まれ、それが元で炎上することもしばしばある。
ただし、印象深い画像と、詩的な文字が組み合わさって、その両者から得られる何かは、人の芸術的なセンスに触れることも多い。そのような組み合わせに一つとして、Stendhal Booksから出版された「Tus ojos, mis manos」(あなたの目、私の手)(図)が挙げられるかもしれない。ちなみに、印象深い画像はスペインの写真家のMartina Matencio氏により、詩的な文字は女優のAlba Ribasによる。
「Tus ojos, mis manos」のことの起こりは文献4)にも詳しくあるが、ある日、彼らのそれぞれの作品、写真、詩が完璧に合っていることに気付いた。そして、あなたが見ている感覚(あなたの目)と、詩(私の手)がコラボレーションすることで、具体化された想像的な物語を紡ぎ出すことができた。その結果、両者がもつセンスの情熱が混ざり合い、親密さ、愛、そして、無関心に関する感情が「Tus ojos, mis manos」に反映され、一方の目、他方の手、そして反対側では、誰かの心がそれを見ることに成功した。ここでの誰かの心とは、読者に他ならないであろうが、不思議な魅力にあ
図 「Tus ojos, mis manos」3)
ふれた「Tus ojos, mis manos」に、まさにセンス・オブ・ワンダーを感じる。
*: 基本的にInstagramはスクエア(正方形)の画像が特徴である(報告書のNo.335も参照)
1) https://jp.techcrunch.com/2016/03/03/istagram-genking/ (閲覧2018.6.7)
2) Sherman LE, et al.: The power of the Like in adolescence: Effects of peer influence on neural and behavioral responses to social media. Psychological Science 27: 1027-1035, 2016.
3) https://www.amazon.co.jp/Tus-ojos-mis-manos/dp/846976859X (閲覧2018.6.7)
4) https://www.lamonomagazine.com/tus-ojos-mis-manos-el-libro-que-une-a-martina-matencio-y-alba-ribas/ (閲覧2018.6.7)