題名:缶詰の諸事情を調査する
報告者:トシ
缶詰はとても有用である。美味しい上に、相当な日持ちがする。短くても年単位で保存が可能で、日本缶詰びん詰レトルト食品協会でも、「保管中に新たな微生物が侵入しないかぎり、賞味期限の経過後についても開封しなければ中身が腐ることなく長期間の保存ができる」1)とある。ただし、缶が錆付いていない、ふたや容器が膨らんでいない、ふたを指で押すとペコペコとへこまない、などの条件1)が必要とされるものの、それらをクリアしていれば、賞味期限が切れていても、自己判断で食べることは可能である。そのため、いざとなった(食糧確保が困難な状況)時でも、食料として非常に重宝する。缶詰の歴史を紐解いても、缶詰は今から約200年前の1804年にフランス人のニコラ・アペール氏によって初めて考え出され、当時ヨーロッパ各国へ戦線を広げていたフランス軍の食料として開発・利用された2)。言うなれば、戦中のいざという時のために缶詰が発展したことがよく理解できる。
今の世の中で、いざという時は、パンデミックな時になろうか。特にゾンビがはびこるような世界に、仮になった場合は、缶詰が大活躍する。そのゾンビは一応、今はまだ映画の中の話ではあるが、米ケント州立大学のタラ・スミス博士により、それに似たパンデミックな状況も起こりうることが医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に論じられ3)、決して映画だけの話ではない(ただし、なったとしても映画の様なゾンビ感とは異なるため、以後はゾンビ(仮)とする)。もしもゾンビ(仮)が跋扈するようになれば、ゾンビ(仮)との格闘を傍目に、食糧の獲得として最重要な物は、日持ちする缶詰であることも明らかである。そのことは、The Walking Deadを観た方なら納得されるであろう。
一方、No.109でも報告したように、スペインには多くの缶詰が存在する。スペインは缶詰大国とも言われ、特にシーフードを中心に多種多様な缶詰がスペインには存在する4)。代表的なところでは、ムール貝やイカ、タコ、サーディン(イワシ)があり、オリーブオイルを使ったピンチョス(おつまみ)的な品が豊富である。各種スペインの缶詰を食べ比べした方のサイト5)を覗いても、図のように多くの品があることが確認できる。
図 食べ比べたスペイン産の缶詰5)
日本での缶詰の事情については、明治4年に長崎で松田雅典氏がいわしの油漬缶詰を作ったのが始まりとなる2)。そのため、実は日本でも缶詰の歴史は古い。缶詰のラベルひとつとってみても、図鑑6)にはなるほどと思えるくらいに種類が豊富であったことが理解できる。
1) http://www.jca-can.or.jp/qanda/05.html#q49 (閲覧2016.5.11)
2) http://www.jca-can.or.jp/handbook/01.html (閲覧2016.5.11)
3) Smith TC: Zombie infections: epidemiology, treatment, and prevention. BMJ 351:h6423. 2015.
4) http://kamimura.com/?p=23952 (閲覧2016.5.11)
5) http://kamimura.com/?p=25049 (閲覧2016.5.11)
6) 日本缶詰協会: 缶詰ラベル博物館-The World of Can Labels-.東方出版. 2002.