題名:見返りによる萌えどころの構図
報告者:アダム&ナッシュ
本報告書は、基本的にNo.1019の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
見返りでの姿絵といえば、真っ先に思い浮かぶのが、江戸時代前期の絵師、菱川師宣の代表作となる1)。文献2)にそれを閲覧できるので興味のある方は見ていただきたい。その名称は、見返り美人図とするが、その絵は切手にもなっていることから、馴染みのある絵でもあろう。この絵は、振り返る女性の瞬間的な動きの中に美しさを見出していることを特徴とする。そして、この構図は、浮世絵の美人画によく見られ、そのポーズは、描かれた女性の視線に合わせられるも、何もない背景でもって、一種、神秘的な女性の様子を表しているとも推測されている1)。それから、遡ること、様々な見返りをモチーフに、この構図で持って描かれた日本画の経緯も文献1)で見てとれるが、その特異な構図に関して、現代における面白い見解が示されている。それは、「昔からの日本人の萌えどころの構図」である3)、ことらしい。
萌えとは、「ある物や人に対してもつ、一方的で強い愛着心・情熱・欲望などの気持ちをいう俗語。必ずしも恋愛感情を意味するものではない。」4)である。そして、見返りが、この萌えどころの構図であるとすれば、先の言葉をつなぎあわせると、萌えどころの構図とは、「瞬間的な動きの中に、強い愛着心・情熱・欲望などの気持ちを持たざるを得ない、神秘的な構図」、と解釈できるのかもしれない。
一方、先の報告書で、かつての日本の男性は、うなじに色気を感じたことを報告した。そのため、舞妓はんがうなじにおけるお白いありなしのコントラストとなったのは、それを見返り的にも活かしていた可能性もある。そのうなじのお白いには、コントラストをなすための一定の塗り方があり、その詳細は文献5)にあるも、ヒトの行動を観察したイギリスの動物行動学者のDesmond Morris博士曰く、伝統的に母の背中に紐で縛られて過ごす時間のほうが長かったことが、うなじを心的に際立たせた原因ではないかと推測されている5), 6)。すなわち、うなじを中心とする見返りの萌えどころの構図は、伝統的に刷り込まれた印象をなしている、と見なしてもおかしくはないかもしれない。確かに、写真ではあるが図を見ると、萌え~となる人も多いであろうか。モデルは森絵梨佳さんになるが、女性が憧れるモデルNo.1でもあることから8)、女性も、萌え~となるかもしれない。
図 森絵梨佳さん7)
1) http://www.guic.gunma-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2017/03/日本文化における美人画について_ヴァレンティナ.pdf (閲覧2018.12.20)
2) http://artscape.jp/study/art-achive/10095492_1982.html (閲覧2018.12.20)
3) https://dic.pixiv.net/a/見返り美人 (閲覧2018.12.20)
4) https://dictionary.goo.ne.jp/jn/218667/meaning/m0u/ (閲覧2018.12.20)
5) https://www.nagaitoshiya.com/ja/2008/geisha-nape-makeup/ (閲覧2018.12.20)
6) Morris, D: The Naked Woman: A Study Of The Female Body. Vintage Digital. 2011.
7) https://www.pinterest.jp/pin/131941464068529094/ (閲覧2018.12.20)
8) https://beauty.oricon.co.jp/news/2123222/full/ (閲覧2018.12.20)