題名:真珠の形状の評価
報告者:エコノ
自然界は不思議な偉業に満ち溢れている。例えば、海の貝がら一つとってもその形状には、自然的には意味があり、巻貝でも数学的に様々な線でその特徴を表すことができる(図)。その線の多くは黄金率でも規定されているが1)、ヒトにとって、美しいと感じる性質(感性)は、もっぱら人工的ではなく、自然界からもたらされた何らかの心理的な賜物であることをも証明しているのであろうか。
感性そのものは、人間の持つ知覚的な能力のひとつ、美や善などの評価判断に関する印象の内包的な意味を知覚する能力に他ならない2)。一方で、その内包的な意味は、人によって後付けされた。ただし、悠久の年月を遡ると、ヒトが人と成りし前 (ヒトが文化を纏って人となる前) でも自然界ではすでに感性が完成している。この完成度は、自然界は地球というシステム、あるいは、宇宙というシステムと連動している証でもあるに違いない。そこで、人は自然に対して、時として歓声をあげる。美しい夕日などを眺めた際、多くの人は閑静できず、つい、「すげー」と喚声する。その時、こころも管制できない。
図 巻貝の特徴1)
一方、普通の巻貝に関しては、如何にその形状が完成していようとも、地球上にはすでにありふれているために、高価な装飾品としての価値は少ない。土産物屋でうまく加工して使われれば、別の価値が見出されるも、巻貝のみを高価な値段を付けたとしても、よほどの希少価値のある巻貝でないと買い手はつかない。しかしながら、同じ貝でも、貝の内部で生成された真珠に関しては、宝石と同じく価値がでる。
その真珠の価値であるが、市場でみたことのある真珠は、ほとんどがその形状が丸い。丸い意外にもあるのかと、ふと、ここで思えた。そこで、調べてみると、やはり丸い意外もあるようであった。しかしながら、商品価値を持つのは丸い真珠で、それしか流通しない場合が多いため、楕円形に近い異形な真珠はなかなか目に触れられないとのことである3)。さらに、養殖の真珠を作るために、真珠貝の貝殻から作られた丸い核を挿入するが3)、この発案者は、日本の御木本幸吉氏であることも判明した4)。昔は養殖期間が2年半だったアコヤ真珠に関して、真珠層が厚く耐久力や照り・巻きに優れていたものの、そうした長期間に形成される真珠層の厚みにはムラができ、真珠層が厚くなるほど珠の形が変形し易く、丸い核の形をとどめることが難しかったとされる5)。ちなみに、真珠は真円であればあるほど一般的に評価が高くなることから、直径サイズを測定し、最大値と最小値の誤差率、および、目視検査で評価される5)。そして、真円=ラウンド(Round)、変形=オフラウンド(Off Round)として、Off Roundも、Drop、Oval、Egg、Button などの形状でもって、形の美しさ、珠面のスムーズさなどが評価される5), 6)。
1) Meisner, GB (著), Araujo, A (アーティスト): The Golden Ratio: The Divine Beauty of Mathematics. Race Point Publishing. 2018.
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/感性 (閲覧2019.1.23)
3) https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1415233049 (閲覧2019.1.23)
4) https://kids.gakken.co.jp/box/nazenani/pdf/04_m-ikimono/X1050033.pdf (閲覧2019.1.23)
5) http://www.pearl-net.co.jp/news/002.html (閲覧2019.1.23)
6) http://www.nihongo.com/aaa/pearl/p1kihon/p17keijy.htm (閲覧2019.1.23)