題名:チョコレートの消費から見たノーベル賞 -Messerli博士の見解-
報告者:トシ
近年、店頭に並ぶチョコレートには様々なものがある。例えば、明治製菓から出ているその名も「ザ・チョコレート」には、いくつもの種類があり、「濃密な深みと旨味 ベルベットミルク」や、「魅惑の旨みジャンドゥーヤ」、あるいは、「優しく香るサニーミルク」など魅力的な名前とともに、それにはカカオの含有量も示され、実に購買意欲を掻き立てる。
そのようなチョコレートであるが、報告書のNo.353でも示したように、チョコレートには身体、特に脳の記憶力にもよい影響を与えることが示唆されている。チョコレートに限らず、どのような食品でも過剰摂取することはよくはないであろうが、体に良いものの適度な摂取は、毎日の健康状態にも影響を与えることになる。さらに、驚くべきことに、チョコレートの消費の量と、認知機能、あるいは、ノーベル賞との関連性を見ると、一つの関係が見出される。それが、Franz H. Messerli医学博士による論文「Chocolate consumption, cognitive function, and Nobel laureates」である1)。これを訳すと、表題と意味と同じく、「チョコレートの消費、認知機能、そしてノーベル賞受賞者」となる。Messerli博士は、アメリカのSt. Luke’s-Roosevelt 病院とコロンビア大学に所属する方であるが、本論文によれば、国民1人当たりのノーベル賞受賞者の総数は、優れた認知機能を有する割合を反映し、さらに、それが、国レベルでのチョコレート消費とも関連しているとのことである。図にその関連性を示す。図の横軸がチョコレートの消費、縦軸が1000万人当たりのノーベル賞受賞者の割合となる。これを見ると、明らかにチョコレートの消費とノーベル賞受賞者との関連がありそうである。確かに、チョコレートを多く摂取したからといってノーベル賞を受賞できる訳ではないであろう。そうであれば、少なくとも筆者はすでにチョコレートの消費から考えると、受賞され
図 チョコレートの消費とノーベル賞受賞者の割合1)
てもよいはずである。筆者以上に受賞に値するチョコレート消費者の方もいるであろう。しかしながら、博士によると、植物由来食品に富む食物フラボノイド(ココア、緑茶、赤ワインなどに含まれる)は、認知機能を改善することが示されており、具体的には、認知症のリスクの減少、いくつかの認知テストの性能向上、および、軽度の障害のある高齢患者における認知機能の改善が、このフラボノイドの定期的な摂取と関連しているようである1)。これで、筆者がチョコレートを大量に買い込むいいわけを明確にできた(のかもしれない)。
1) Messerli, FH: Chocolate Consumption, Cognitive Function, and Nobel Laureates. N Engl J Med 367:1562-1564, 2012.
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