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題名:ジャガイモの歴史と未来のジャガイモ
報告者:エゲンスキー

 ジャガイモはその名の通りイモの一種である。時折、人に対して、いわゆる鈍くさいような人を、”イモ”と揶揄するが、それはなぜだろうか。その揶揄とは反対で、実はヨーロッパや北海道の食糧難を救った野菜でもあり、野菜界での働きは非常に大きい。その功績は勲章に値する野菜である。しかしながら、根菜でいつも土の中にある、あるいは、他の野菜のように鮮やかでない、あるいは、芽や緑化した部分に毒素がある、などネガティブな一面もあり、その辺がイモへの偏見となっているのかもしれない。特に、ジャガイモがヨーロッパに持ち込まれた時代、船の積み荷であったジャガイモの芽や緑化したその毒素によってもたらされた害が、ジャガイモを敵視することとなり、一時はヨーロッパでは「悪魔の植物」とも言われた1)。
 このように多大なる功績と偏見をも併せ持つジャガイモであるが、植物学的にはナス科ナス属に属する1)。そのため、多くのナス科と同じくして、連作障害(同じ場所で連続して栽培すると、生育が極端に悪くなったり、枯れてしまう現象のこと2))がある。それを避けるために、栽培する際には工夫をしないといけないが、ジャガイモ自体は、他の野菜に比べて、手間がかからず、栽培しやすいことを特徴である。荒れた土地で、かつ、水遣りも気にしないで育つ野菜の筆頭に、このジャガイモがある。そのジャガイモの野菜界における強靭さが、実は幾度となく訪れた食糧難を救ったきっかけでもある。
 ジャガイモの歴史は、南米アンデスにあり、紀元前7000年頃に栽培が始まったとされる3)。インカ帝国の時代は最も重要な野菜でもあり、その当時すでに凍結乾燥して保存する技術もあった3)。その後、南米からヨーロッパに渡った経緯は、No.196に記載されたカカオ豆と同じであろう。図にジャガイモが渡航したルートを示す。このことから、ジャガイモとカカオ豆は、南米から世界中に広まった似たもの兄弟と言えるかもしれない。  
 ジャガイモを使った料理も世界中に多く存在する3)。結局は、”イモ”、と言われても、なにかと愛されている野菜であることがよく分かる。さらに、近年の宇宙開発には目を見張るものがあるが

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図 ジャガイモが渡航したルート3)

(No.182)、どの野菜よりも真っ先に宇宙へ行く確率が高いのが、このジャガイモである4)。そのうち、”宇宙ジャガイモ”なる宇宙で栽培されたジャガイモも、店頭に並ぶかもしれない。

1) https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャガイモ (閲覧2016.2.26)
2) https://www.ja-nishikasugai.com/green/saien/point/rensaku/rensaku.htm (閲覧2016.2.26)
3) 誠文堂新光社(編): 世界のじゃがいも料理. 誠文堂新光社. 2015.
4) http://www.gizmodo.jp/2016/01/nasacip.html (閲覧2016.2.26)



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