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題名:不確定性「ポチる」における人の心理
報告者:ログ

 「ポチる」とはインターネットの普及に伴い生まれたスラングである。今では知らない人は少ないであろう。この「ポチる」について、日本語俗語辞典1)に基づいて説明すると、「ポチる」とは、スイッチを押すという意味が、インターネットの通販サイトで購入商品を確定し、購入ボタンを押して買うという意味へとなったとある。すなわち、通販サイトを見ながら、買い物かごに入った商品をマウス等のクリックでもって、購入を確定するまでの行為、それが、「ポチる」である。このようにインターネットが普及してからは、買い物の仕方も大きく変わった。以前であれば店頭に並ぶ商品を見て、それが必要か否かを判断し、商品をレジに持っていく、必要であれば販売員に購入を告げ、レジにて清算することが当たり前であった。店頭の方法では、現物を見る、場合によっては触る、ことができ、実在する商品が買い物での判断の主材料となる。しかしながら、インターネットの通販は、商品の写真を見る、ことが買い物での判断の主材料となる。商品に関する他の人のレビュー等も参考にはなるが、あくまでも「ポチる」までには、空想(写真からの商品の善し悪しの推定)に基づく本人の意思決定が求められる。
 人によっては店頭で商品を確認してから、インターネットで購入することもあるであろう。しかしながら、それができず、かつ、購入が不確定な場合、すなわち、多大なる空想とともに、とても欲しいが値段等で迷っている、それほど必要性がないがあってもいいかなと思いこんでいる、気がつくと買い物かごに入れてしまっている、その場合の「ポチる」「ポチらない」の選択は指先の動き一つに委ねられている。その時の人の心理として、気分のいい時は「ポチる」、逆に気分が滅入っている時も「ポチる」、冷静な時は「ポチらない」となる。これを簡単にグラフ化すると図のようになるであろう。店頭での買い物であれば、気分がわるい場合は購

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図 ポチる率と心理状態

入しないことが多い。しかしながら、インターネットでの買い物における「ポチる」には、図のように気分がわるい心理状態の時もかなりポチる率が高くなる。それは、気分を晴らすべく、一種の買い物依存的とも言える心理状態である。また、金銭が媒介しないために、「ポチる」際も金銭を意識せず、つい「ポチる」。
 例えば、ここでロールケーキを見てみる。各種いろいろと揃っている。気分が普通の時は、単なるロールケーキかという感じで素通りするも、気分が滅入っている時、あるいは高揚している時、「どうしようかな~」という深層心理を宥めつつも、なぜか「ポチる」際の指先は無意識に動く。

1) http://zokugo-dict.com/30ho/pochiru.htm (閲覧2015.10.12)



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