題名:映画のワンシーンの佇みを撮る、銘玉31 mm
報告者:ログ
所謂カメラ好きの人に分かる用語で銘玉というのがある。銘とは優れたを意味し、玉とはレンズを意味する。そのため、銘玉とは、一眼レフカメラや一眼カメラに装着する交換レンズの中で、特に優れたレンズのことを揶揄する。そのため、No.58で紹介されたKISTAR 55mm F1.2やCarl Zeiss社のOtus 55mm F1.4も、銘玉として挙げることができよう。よくあるレンズの焦点距離(*)として、28mm、35mm、50mm、85mmあたりになるが、先の55mmも珍しい焦点距離である。それと同じく、表題にある31mmも珍しい焦点距離であり、この焦点距離を持つレンズはほとんどない。Googleなどで検索して頂ければ分かるが、検索結果はPENTAX FA 31mm F1.8 AL Limitedが筆頭となるはずである。表題の銘玉31mmとは、その検索結果の通りで、PENTAXのこのレンズのことを指している。
ここで、PENTAX FA 31mm F1.8 AL Limitedの各語の意味を説明すると、FAはフルサイズ(**)に装着可能であること、F1.8は開放値(*)のこと、ALは非球面レンズがあること、Limitedは特別仕様であることを意味している。現在のPENTAXの一眼カメラの画像素子が、APS-Cサイズ(**)を最も大きなサイズとするために、その場合の焦点距離は31mm×1.5倍の46.5mmとなる。この辺の換算は交換レンズを扱う上での注意となるが、近々、PENTAXからフルサイズの一眼カメラが販売されることから、そのカメラであれば、31mmのままとなる。
このレンズの特徴は、その珍しい焦点距離もある。しかしながら、主観的に評価すると、次の2つに大別される。
①作りがしっかりしていて、所有欲が満たされる。
②撮った写真が、とても雰囲気のよい感じになる。
レンズのスペックやデータ値に詳しい方が見ると、あまりにも主観的な評価ではある。しかしながら、レンズに詳しくない方でも上記の2つは理解できるのが、このレンズのすごさでもある。特に、②は重要な点で、自分のカメラ技術が一段アップしたかのような錯覚を覚えることもしばしばである。詳細なスペックに関しては、文献1)を参照して頂きたいが、このレンズで撮った写真は、人生の大事な瞬間が、まさに映画のワンシーンのような佇みへと変貌する。下の写真は、このレンズで適当に撮った写真ではあるが、なぜか不思議な佇まいが存在する。
1) http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/lens/k/wide/smcpentax-fa31/ (閲覧2015.12.11)
* : 焦点距離や開放値に関しては、No.58を参照されたい。
** : CMOSなどの画像素子が、フルサイズでは約35mm×24mm、APS-Cでは約23.4mm×16.7mmのサイズとなる。