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題名:今日の音楽は、「David Bowieの曲「I’m Deranged」におけるBrian Enoのと化学反応について」
報告者:ダレナン

David Bowieの「I’m Deranged」は、1995年のアルバム『Outside』に収録されており、Brian Enoとのコラボレーションの中でも特に実験的な成果の一つです。この曲におけるEnoとBowieの“化学反応”は、ただの共同作業ではなく、創造の爆発とも言えるほどの深い融合を見せています。

1. Enoの実験性とBowieの表現力の融合
Brian Enoは、常に「偶然性」や「非線形構造」に重きを置いてきたアーティストです。「I’m Deranged」においても、彼の影響は明らかで、以下の要素が挙げられます:

不規則で変則的なリズム
→ エレクトロニックなビートが曲の不安定さを強調し、狂気や錯乱というテーマをサウンド面から支えている。

アンビエントとインダストリアルの中間にある音世界
→ 荒廃的な空気感と神秘性の共存。これはEnoのアンビエント的な手法と、90年代のインダストリアル的感覚の混合によるもの。

2. Bowieのヴォーカルと語り口の変質
Bowieはこの曲で、理性と狂気の境界線にいるような歌唱をしています。

ヴォーカルは感情の揺らぎと抑制の間を漂うようで、まるで夢の中の語り。

歌詞は断片的で象徴的、まるで記憶や幻覚の断片を語るようなスタイルで、Enoの**「オブリーク・ストラテジーズ」**的な発想を感じさせる。

3. 創作手法:「Outside」セッションの背景
『Outside』全体は「アート・クリミナル」などが登場するサイコロジカルなコンセプト・アルバムであり、制作においてもEnoとBowieは即興演奏とランダムなストーリーテリングを用いました。

キャラクターの断片的設定から物語を作り出す手法は、まるでパズルを音楽で解くような作業。

「I’m Deranged」はその中でも、特にサイコロジカルで、論理が崩壊しかけている瞬間を音楽で表現したような曲です。

4. 後年の評価と影響
この曲は、David Lynchの映画『ロスト・ハイウェイ(Lost Highway)』のオープニングとエンディングに使用されたことでも有名です。

Lynchの映像美とこの曲は驚くほどの親和性があり、EnoとBowieの共同作品が映像表現の世界にまで影響を及ぼした好例。

このコラボによって、音楽が抽象絵画や夢のような映像と地続きになる可能性を示しました。

総括:異能同士の“狂気の協奏曲”
「I’m Deranged」は、Enoの方法論とBowieの感性が、テーマとしての「狂気」と「錯乱」を通じて極限まで交わった一曲です。これは単なるプロデューサーとアーティストの関係を超えた、芸術的な共犯関係とも言えるでしょう。



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