題名:温泉地での温泉卵に関する調査
報告者:トシ
卵は与えた温度によっていろいろな変化を起こす。何もしなければもちろん生卵である。十分に温度を加えると黄身も白身も固まるゆで卵となる。また、不十分に温度を加えるといわゆる温泉卵、あるいは、半熟卵となる。どの卵の変化も家庭での温度の与え方を吟味することにより再現できる。それらの卵の中でも趣のある温泉卵は、温泉たまご器なる温泉卵を作る機器を用いても簡単に作成することができる。これは、とても便利な機器である。しかしながら、温泉と名がつく以上、お湯でなく温泉でするほうが望ましいのかもしれない。
その温泉卵や半熟卵の状態に関して、温度の加え方の不十分さの程度によりいくつかのバリエーションを生じることができる。例えば、黄身が固く、白身がどろどろの状態、その逆として、黄身はどろどろで、白身が固い状態である。厳密に言えば、前者が温泉卵の定義に即する。このような違いが生じる理由に、黄身と白身の凝固する温度に差があることに起因する。黄身は約65~70℃で凝固し、白身は約75~78℃で凝固する1)。このことから、この間の温度、もしくは黄身が凝固する付近で一定の温度を卵に加えることにより、温泉卵が出来上がるということが理解できる。そこで本報告書では、実際の温泉地においてどのようにして温泉卵が作られているのかについて調査することにした。
各温泉地における源泉の温度と、卵に温度を加える加熱時間を下に表で示した。なお、調査はGoogle検索を利用して、温泉・温泉卵・温泉で作る、の3つのキーワードを元に実施した。この検索キーワードを元に選択された以外にも温泉卵を名物としている地はあると思うが、ここでは表の8地について調査できた。
表 源泉温度と卵への加熱時間の違い
この表から、源泉温度と加熱時間は温泉地によりかなり違いがあるが、傾向として源泉温度が高い地は加熱温度が短く、源泉温度が低い地は加熱温度が長いことが分かる。その傾向は、先の黄身と白身の凝固温度に基づいて、各温泉地で経験的に判断されているものと思われる。しかしながら、温泉地での温泉卵にはこれ以外にも温泉の泉質、例えばイオウがどれぐらい含まれているのかなどによっても風味等が異なることが予想される。
卵殻膜には水のような低分子は透過させるが、タンパク質などの高分子は透過させない2)。そのため、各地の温泉の泉質に低分子な成分がどれぐらい卵内部に影響を及ぼしているのかを調べることが、今後の各地独自の温泉卵の地位を確立させる因子となる。その結果は、温泉につかるとは異なった楽しみを与えるだろう。
1) http://www.kitcho.com/kyoto/event/madrid_fusion_05/mf_013_jp.html (閲覧2015.8.19)
2) http://www.k4.dion.ne.jp/~soilshop/labo/labo%20sintouatu.html (閲覧2015.8.19)