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題名:心臓の拍動を操る自律神経の機能
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.520の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 先の報告書で心臓の働きのきっかけを生むキース=フラックの結節について調べるとともに、その発見の経緯についても触れた。ここでは、心臓の拍動を生むキース=フラックの結節を操る自律神経について調べたい。
 自律神経には交感神経と副交感神経の2種類に区別され、その機能的な役割の違いを表に示す。

表 交感神経と副交感神経の機能1)

この表から、交感神経は緊張する時によく働き、副交感神経は安静する時によく働くことが理解できる。それは心臓、血圧、瞳孔の働きからも一目瞭然である。例えば、緊張する時に心臓がバク、バク、バク…と太鼓のように拍動するのは、まさしく交感神経の働きによるものである。
 先のキース=フラックの結節は、心臓の歩調とり(ペースメーカー)とされる1)。しかしながら、仮に、自律神経を何らかの形で遮断しても、この結節のおかげで一定の頻度で心臓は拍動する。これを心臓の自動能(自発興奮機能)と呼ぶ2)。この自動能のテンポを操っているのが、実は自律神経となる。キース=フラックの結節には自律神経の分布が心臓の他の部位に比較して非常に密度が高いが2)、このことからも如何に心臓の拍動が自律神経によって操られているのかが推測できる。
 この自動能を発生し、維持しているのは、洞結節(キース=フラックの結節)細胞の2つの働きにより、一つは電位に基づくvoltage clock、もう一つはCaイオンに基づくCa clockである2)。すなわち、キース=フラックの結節内には2つのclock(時計)があり、これらによって自動能が起こり、心臓を規則正しく拍動させている。しかしながら、このclockを修飾させるのが、自律神経の働きでもある。
 一方、自律神経の源流を辿ると、心臓に関連した自律神経は主に延髄から延びている。その延髄にある心臓中枢ともいえる神経支配は心臓反射として自らが意図できない場合でも影響されるが3)、より高位の中枢である視床下部からも自律神経は影響され、さらに、視床下部は情動などを司る大脳辺縁系からも影響される4)。このことから、心臓反射は自ら制御できないが、定期的なclockの修飾を自律神経の働きで持って心臓へ促すには、安定した情動が必要となることも明らかである。

1) 藤田恒夫: 人門人体解剖学. 南江堂. 1988.
2) 渡邊英一: 心拍数の調節機構. 心臓 43: 1391-1396, 2011.
3) https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2234 (閲覧2017.6.29)
4) http://genki-go.com/autonomic/07.html (閲覧2017.6.29)



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