.

題名:金ぴかのボタン?…
報告者:ダレナン

 ふと足元を見ると、何かが這っていた。近眼の私は、幸いなことにメガネがなくては足元すらよく見えない。でも、たぶんゴキブリではないような形をしている。そこで、じっと目を凝らしてみた。そこにいたのはヤモリであった。

「ヤモリ?」

 ヤモリにはその名の通り、家を守る、家守(ヤモリ)となる。何かの幸運のしるしかもしれない。ヤモリを踏まないようにそっと足をどけると、そのヤモリは、さささっ、と素早い動きで、タンスの奥に隠れていった。

「ヤモリちゃん。どこに行ったのかなぁ。」

興味本位で、タンスの奥を覗くと、ヤモリはいなかった。が、そこに何かの物体が見えた。自分が動くことで、その何かに日光があたり、ピカリと輝いた。

「金ぴかのボタン?…みたい。でも、ボタンにしては大きさが大きすぎるかもしれないなぁ。あっ、そういえば、この前、お金をここらで落としたような…。もしかしてそれかもしれない。金ぴかということは、5円玉か、10円玉か、500円玉か? でも、お金よりも大きいような…」

そう思い、タンスの奥に手を伸ばした。届きそうで、届かない、その金ぴかのボタン?…

「もう少しで、届くのに…」

そこであたりを見回して、タンスの奥まで届くような棒を探した。ちょうど手芸に使おうとしている妻ののれん棒が目に入った。

「あった。あった。」

その棒を使って、金ぴかのボタン?まで棒を伸ばした。その時、その金ぴかのボタン?らしきものが、少し動いた。かと思うと、フュンフュンフュンと、奇妙な音が聞こえ、金ぴかのボタン?が宙に舞った。そして、こちらに近づいてきた。

「うわっ…。なんだこりゃ。」 

近づいてくるその金ぴかのボタン?の窓らしき小さな穴から、ヤモリの目が光っていた。そして、そのまま、金ぴかのボタン?は家の窓まで飛んでいくと、窓の隙間から空高く飛んで行った。



…「のれん棒」の品への案内は、こちらになります。


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。