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題名:チョウチンアンコウとその他アンコウの世界
報告者:トシ

 深海魚の中でも最も有名な魚に、チョウチンアンコウがいる。そのチョウチンアンコウは、熱帯・亜熱帯域の水深の約200-800mの中層から捕獲されることが多いため、その水深に多く生育しているものと思われる1)。図にチョウチンアンコウの姿を示す。図を見ると、いわゆるマグロなどの流線形の魚とは違い、明らかに泳ぎに適した形ではないことが分かる。水深約600mで泳ぐ姿がYoutubeにアップされているが2)、これを見ると、チョウチンアンコウは泳ぎがあまり得意ではないようである。そのため、餌取りは泳ぎにより行うのではなく、別の方法で進化した。それが頭部に備わっているチョウチンである。
 このチョウチンは「エスカ(擬餌状体)」という名があり、背ビレが変化した「イリシウム(誘引突起)」である3)。そのエスカの膨らみに発光バクテリアを共生させる培養室があり、

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図 チョウチンアンコウの姿3)

培養室の上部は半透明で、細い開口部があり、ここから発光物質を噴出させる3)。また、エスカから出ている肉質突起や10本ほどある糸状の部分は光ファイバーと構造が似ていて、そのファイバー構造を利用して、発光バクテリアの光を先端に届けているらしい3)。そのため、この光が小魚をおびき寄せることとなり、その小魚が口の近くに来たときにチョウチンアンコウはゴチになれる。ダイバーからしても水深300mの明るさは、まさに暗黒の世界であるが5)、水深600mほどになると、チョウチンアンコウの明るさは、小魚にとっても暗闇の道しるべとなっているはずである。ただし、そこには食べられる罠があることは、彼らは知らないであろう。チョウチンアンコウの進化に小魚たちは見事だまされている。
 一般的に食用となるアンコウは、チョウチンアンコウではなく、キアンコウ、クツアンコウ、ニシアンコウ、アメリカアンコウである6)。このうち、日本ではキアンコウ、クツアンコウがよく食される6)。
 アンコウを解体する際によく見る、下あごにフックをかけて体を吊して上で切る方法は、「吊るし切り」と呼ばれ、アンコウ独特の捌き方である。そのように捌く理由は、アンコウの体全体が柔軟性に富み、粘りがあるためであり、アンコウの口から水を流し込んで胃を膨らませ、柔らかい胴体に張りがでたところを解体すると解体しやすいためである6)。この「吊るし切り」に関しては、常陸路冬の風物詩でもあり、このあたりにその独特の解体方法の起源があるのであろう7)。なお、江戸時代の頃は、アンコウは5大珍味の1つであり、今でもそうだが歴史的にも名高い高級食材である6)。アンコウ鍋でも唐揚げでもおいしい。

1) https://ja.wikipedia.org/wiki/チョウチンアンコウ (閲覧2015.12.22)
2) https://www.youtube.com/watch?v=VqPMP9X-89o (閲覧2015.12.22)
3) http://www.weblio.jp/content/チョウチンアンコウ (閲覧2015.12.22)
4) http://www.nikkei.com/article/DGXMZO77382540S4A920C1000000/ (閲覧2015.12.22)
5) http://chikyu-to-umi.com/kaito/deepdiver.htm (閲覧2015.12.22)
6) https://ja.wikipedia.org/wiki/アンコウ (閲覧2015.12.22)
7) http://www.oarai-info.jp/eat/08.htm (閲覧2015.12.22)



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