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題名:Joe Hendersonの音楽性から粋なJazzを巡って
報告者:ゴンベ

 本報告書は、基本的にNo.503の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 報告書のNo.503でJoe HendersonのBlue Noteレーベルの4140番であるPage Oneのジャケットデザインについて解析した。ここでは、Joe Hendersonの音楽性でもって、Joe Hendersonの歴史から粋なJazzを巡ってみたい。
 Page OneはJoe HendersonのBlue Noteにおける事実上の初アルバムであり、その背後はJoe Hendersonを見出したトランぺット奏者のKenny Dorhamによるところが大きい。Kenny Dorhamの最もらしいアルバムは、Prestigeレーベルの8225番にあたるQuiet Kennyになるであろうが、このQuiet Kennyとよく似た感じが、Page Oneには存在する。Kenny DorhamもPage Oneでは何曲かを提供しているから当然と言えば当然であるが、この2枚を通して聴くと分かりやすいが、実に聴きやすいことが分かる。「あれっ、Jazzってこんなに聴きやすいの?」とさえ思える。その音楽的なセンスは、当時では珍しいタイプだったことも推察される。Page Oneは1963年の作品であっても、当時よりも、むしろ現代らしい粋なJazzである。
 Joe Hendersonはテナーサックス奏者であるために、Jazz界でのテナーサックス奏者といえば、John Coltraneを外すことが出来ない。John Coltraneは今もってJazz界の巨人であるが(報告書のNo.388も参照)、Page Oneが発売された1963年と言えば(ちなみに、John Coltraneは1969年7月に亡くなった)、Coltrane節をブイブイ云わしていたはずである。その当時、彼はテナーサックス奏者としての立ち位置が難しかったのかもしれない。しかしながら、Joe Hendersonの音楽性のよい点は、明らかに適応能力と折衷主義にある1)。ようはなんでもござれ、である。そのためでもあるのか、あるいは、そこには彼の人柄(図にJoe Hendersonを示す。明らかによい人っぽい)もあると思うが、Joe Hendersonの音色には派手さがなく雄弁さもない2)。呟くような、こもったような音質で、場合によってはライブを聴くと音量も小さく他に共演者がいると掻き消されてしまうこともあるともいわれていたが2)、Blue Noteの4227番のMode for Joeでは、テナーサックスJoe Henderson、トランペットLee Morgan、トロンボーンCurtis Fuller、ビブラフォンBobby Hutcherson、ピアノCedar Walton、ベースRon Carter、ドラムJoe Chambersとすごいメンツで演奏されているのにも関わらず、まとまり感があり、4000番台の中でも名盤ともされている。Joe Hendersonの音楽性の凄さは、この粋なまとめ方にきっとあるに違いない。John Coltraneの啓示も凄いが、Joe Hendersonのひょう

図 Joe Henderson3)

ひょうとした感じは、「へうげもの」の古田織部にも似て、なかなか乙な人である。
 ちなみに、Joe Henderson は2001年6月30日に亡くなったため、もうすぐ命日となる。

1) http://joehenderson.jazzgiants.net/ (閲覧2017.6.10)
2) http://czt.b.la9.jp/Jaz-henderson.html (閲覧2017.6.10)
3) http://www.allmusic.com/artist/joe-henderson-mn0000139804 (閲覧2017.6.10)



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