題名:ビターチョコレートの時間
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.1927の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
「でも、それって、問答無用って、僕が、その時に、テキトーに書いたことなんじゃないの…」
その後、しばらくの沈黙の後、シズコは声を荒げて僕に伝えた。
「わたしから、忠告していいかな。あなた、何にも分かっちゃいないようだから…。
ダリオくん。あなたは、本当になんにも、分かって、い・な・い。
あ・ら・ゆ・る・も・の・ご・と・は、つながっているの。
わたしも、クミも、そして、あなたの子ども、も…。
だから、あなたがクミと結ばれることも、そうして、それが計画であっても、すべては、つながっているの。
ダリオくん。どんなに、わたしとクミから、あなたが愛っているか、知っている?」
「知らない」
「そうでしょうね。あなたは、鈍感だから…。人への配慮のない人だから…」
その後、妻は僕に背を向け、あからさまに怪訝な様相を示していた。
「わたし、嫉妬したの。とっても嫉妬していたの。クミに。そして、あなたにも、shitしていた。
浮気じゃないじゃない。知ってるよ。あなた浮気で、どうこうなる人じゃないって、よく知ってるもん。
本気でしょ。クミには…。
そんなの、よく分かってる…。
でもね、
でもね、
わたし…。
あなたの、ダリオくんの子どもが、どうしても欲しかったの。
何でなのかわかんない。
そんなの、説明できない…。
でも、わたしにはその資格がない。って、なんでなのよって、ずっと自分を自分を責めていた。
ずっと、責めていた…。
でも、わたしが無理なら。やっぱり、クミに頼むしかないじゃない。
クミなら、わたしの代わりに、ダリオくんの子どもを見ることが出来るかもしれない。
例え、わたしから生まれていなくても、それは間違いなくダリオくんの子。
どんなに、そのことが、わたしが欲しかったのか、
あなた、知ってる。知ってるの?」
妻シズコの眼からは留めなく涙があふれていた。
その時はまるで、ミルクチョコレートのような時間とは真逆の、ビターチョコレートの時間が流れていた。