題名:強力わかもとの「わかもと」とは?
報告者:ナンカイン
強力わかもとはわかもと製薬があつかう主力の薬である。そのわかもと製薬は昭和4年に設立され、とても歴史のある会社であり、その時すでにわかもとなる薬が発売されていた1)。言い換えると、このわかもとの開発が、わかもと製薬を設立したということになる。長らくこの強力わかもとの「わかもと」の意味が分からなかったが、わかもと製薬のホームページを拝見すると、このようにあった。
わかもと ← 若素
これを見ると、若い素が「わかもと」の語源であることが分かる。すなわち、若さの素となる薬として強力わかもとの起源があった。
わかもと製薬は古くからの歴史があり、かつ、主力の薬も強力わかもとである。それゆえに、知名度も高いであろう。使ったことはなくとも、名前だけは知っている人も多いに違いない。また、リドリー・スコット監督による海外の映画「ブレードランナー」にも劇中で公告され、海外でも広く知られている日本の薬のひとつであるに違いない。
その強力わかもとの成分は、主なものとして、アスペルギルス・オリゼーNK菌、乳酸菌、ビール酵母が入っている。アスペルギルス・オリゼーNK菌は、強力わかもとの研究所において発見され、麹菌の中から消化酵素の力価バランスに優れた菌株のことを称している2)。その麹菌は米や麦、豆などのコウジカビと呼ばれる一群の糸状菌を生育させたものであり、そのコウジカビが体外に分泌した酵素によってデンプン、タンパク質、脂肪などを高い効率で低分子化することが出来る3)。乳酸菌は、ヨーグルト、乳酸菌飲料、漬け物などの発酵食品に含まれる乳酸を生成する細菌類を称し、腸の内に常在して、他の病原微生物と拮抗することで腸内環境の整えるのに役立つ2, 5)。ビール酵母は、ビールの製造過程で発酵が終わって底部に沈殿した酵母菌体のことを称し、生命維持に欠かせないビタミン、アミノ酸やミネラルなどを豊富に含む2)。このことから、強力わかもとは、胃腸を整えることで、身体を健康に導く薬であることが分かる。まさに「若素」である。
藤田5)は、著書「脳はバカ、腸はかしこい」の中で、健康において脳よりも腸内環境を整えることが大事であると述べている。さらに、脳内の伝達物質であるドーパミンやセロトニンなどは、腸内環境によって影響を受けやすいことを説いている。このことからも分かるように、胃腸を整えることは、脳への健康にもつながる。このようにして見ると、胃腸を整える作用を持つ強力わかもとは、強力な若素となり、その名に恥じない薬であることが分かった。
1) http://www.wakamoto-pharm.co.jp/company/history.html (閲覧2015.12.6)
2) http://www.wakamoto-pharm.co.jp/health_si/labo/index.html (閲覧2015.12.6)
3) https://ja.wikipedia.org/wiki/麹 (閲覧2015.12.6)
4) https://ja.wikipedia.org/wiki/乳酸菌 (閲覧2015.12.6)
5) 藤田紘一郎: 脳はバカ、腸はかしこい. 三五館. 2012.