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題名:危機が始まっている
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的にNo.2121の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 大鉈を振り切ったところで、カルロス・タミヤ・アル・ロドリゲスのストーリーなんぞ執筆することはできない。ことに気づいた。Beginnings of The New Worldだと…。なんでこんなもん執筆し始めたんだ…。続きではなく、続いている、そんなまたしても悪い癖(へき)が出てしまい、なんとか続けるために、明確なプロットなしにあれこれと思いを巡らせ、ブラジルかコロンビアかベネズエラかペルーあたりの南米のストーリーなるプロットを描き、思考してみた。が、至高とならずに歯垢ばかりたまる。そんなのできるわけはなかった。これが壁(へき)だ。

 おっと、正式なカタカナは、ベネズエラだったのか。ベネゼイラかベネゼーラかと思っていた。
 ここで調べて初めて気づいたぜ、ベイベー。

 ベイベー。赤ちゃん、もうすっからかんだぜ、赤ちゃん。自分の才能のなさにびっくりしてしまう。こんなダラダラの記述はできるも、明確なストーリーが浮かばない。いっそのこと、僕、田宮平十郎のストーリーにしてしまおう。そうして、そのダラダラな記述の中で何かが生まれるのを探ろうぜ、赤ちゃん。

 昨日のことスルメを食べた。それが結構硬いタイプだった。そのため、今、奥歯がガタガタいわされている。「奥歯ガタガタいわしたろーか」とまでに震え上がるほど、その硬さのパンチが危機始めている。歯を磨き、歯垢を落とすも、ガタガタしている感じが今でも拭えない。奥歯から、危機が始まっているのだ。

 そういえば、「記録を残さなかった男の歴史 ある木靴職人の世界 1798-1876」という本の存在をふと思い出す。これは、歴史に名を残していない偉大ではない人物の歴史をあえて紐解いたようなものだったはずだ。本棚をしらべると、それがあった。僕「田宮平十郎の歴史」かのような思いでその本を取り出し、見つめた。

 筆者:アラン・コルバン
 本の原題の題名は「ルイ=フランソワ・ピナゴの再び見いだされた世界 ある無名の男の痕跡を追って」

 訳者解説にはこう書かれてあった。「コルバン自身が繰り返し言っているように、この本は、死について、というよりもむしろ消滅についての考察の書でもある。生きた痕跡をほとんど残さずに、後世に完全に忘れ去られて消え果てた存在をめぐって、さまざまな生の側面の蘇生を試みた」(1)とある。まさに今のこの状態にうってつけだった。

 僕の存在は未来には残らない。未来のアランが僕に何かを見いださない限りは、僕は消え去る運命なのだ。

1) アラン・コルバン:記録を残さなかった男の歴史



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