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題名:カラアゲとトンカツの人気と歴史の違い
報告者:トンカツる

 カラアゲとトンカツの違いについて、ここで今更述べることもないが、まずは材料となる肉が違う。カラアゲは鶏肉、トンカツは豚肉である。どちらも肉料理として著名であるが、かつての調査(報告書のNo.221)によると、カラアゲとトンカツの人気は、Cookpad上の品数から換算すると、カラアゲ > トンカツ、となったことは記憶に新しい。なぜ、カラアゲ > トンカツ、となったのかは筆者の名からすると興味のあることでもあるが、ここは、それ以外の違いについて検討したい。
 まずは歴史である。カラアゲの歴史は、日本唐揚協会によると、その起源は江戸時代初期に中国から伝来した普茶料理から始まったとされるが、その普茶料理は、現在のカラアゲとは異なり、豆腐を用いた煮た料理とされる1), 2)。そのため、現在の料理法も含めたカラアゲの元祖は、外食メニューとして登場した昭和7年頃になるであろう2)。さらに、カラアゲは日本独特のものともされている2)。この辺は実に意外と知らない歴史でもある。一方、トンカツの歴史は、フランス料理のカツレツが起源とされ、豚肉を使ったカツレツがポークカツレツとなり、その豚がトンになってトンカツへと至ったとされる3)。さらに、明治5年に出版された「西洋料理通」に、トンカツのカツレツ的な料理であるホールクコツトレツという料理が記されているようで3)、この辺が日本でのトンカツの始まりとなりそうである。ただし、これはあくまでもカツレツをベースとしたトンカツであることから、先のカラアゲと同じくして、現在の料理法も含めた元祖として外食メニューとなるトンカツは、老舗洋食屋「煉瓦亭」の創業者である木田元次郎氏が考案した明治32年頃とされる4)。この歴史から見ると、明らかにその歴史の長さで言えば、カラアゲ < トンカツ、となることが理解できる。  それでは、なぜ、人気ではカラアゲ > トンカツなるも、歴史では、カラアゲ < トンカツなのであろうか。  ここで考えると、人気がでる要素のひとつとして、料理方法の工夫が挙げられるかもしれない。日本においてラーメンやカレーが市民権を得たのは、ひとえに、手軽に、かつ、おいしくの二つのキーワードが料理方法の工夫へと結びつく原動力となり、その結果が、ラーメンもカレーもどちらもインスタントの開発となる。ただし、カラアゲもトンカツも冷凍食品を除いて、インスタントでは賄えない。そこで登場したのが、カラアゲではカラアゲ粉となるのであろう。カラアゲ粉の最初を調べると、「日清から揚げ粉」がその祖となり、昭和48年に販売されたとされる5)。さらに、カラアゲ(揚げた鶏肉)で連想するのが、ケンタッキーフライドチキンという存在である。こちらは、昭和45年に初店舗ができるも、安定した運用に転じたのが、その数年後であるようである6)。そのことから、なんとなく時代背景的に、ケンタッキーフライドチキンが広まったのも「日清から揚げ粉」との相乗効果が推定される。しかしながら、一方のトンカツはトンカツ粉もなく、ケンタッキーフライドトンカツもないことから、ここら辺にどうも、歴史ではカラアゲ < トンカツであろうとも、人気ではカラアゲ > トンカツとなった逆転劇がありそうである。

1) http://www.karaage-yamituki.jp/original8.html (閲覧2017.5.27)
2) http://karaage.ne.jp/whats/2011/01/karaage-rekishi.html (閲覧2017.5.27)
3) https://www.nipponham.co.jp/recipes/meat/zoomup/tonkatsu/03.html (閲覧2017.5.27)
4) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/10686 (閲覧2017.5.27)
5) http://www.nikuine-press.com/survey/post_4080/3/ (閲覧2017.5.27)
6) https://ja.wikipedia.org/wiki/日本ケンタッキー・フライド・チキン (閲覧2017.5.27)



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