題名:カラスはなぜ黒いのか?
報告者:トシ
分かるようで分からない。それが表題の「カラスがなぜ黒いのか?」である。例えば、その他の鳥を見てみると、部分的に黒はあるが、全身が黒と言う鳥はあまり見かけない。一方、熱帯にすむ鳥は、熱帯にすむ魚と同じくして、極彩色をしていることが多い。体に黒の配色が多くとも、くちばしなどの部分はかなりの色が付いている。図にカラスのイラストを示す。白と黒とでは随分と印象が異なる。
色が持つイメージの観点から、白は「膨張色、進出色、柔軟色、軽量色」2)、黒は「収縮色、後退色、強硬色、重量色」3)とされる。ヒトは、その他
図 白と黒のカラスのイラスト1)
にも色に対する心理的イメージも持つが、自然界に存在する物質とその色のイメージを基準に考えると、先の白黒のイメージは、多かれ少なかれ鳥自体も持ち合わせていても不思議はない。この色のイメージを踏まえて、今度は鳥の視覚の観点から捉えてみる。鳥は赤、緑、青、紫の4色を見ていると言われ、望遠する機能も備わっている4, 5)。さらに、カラスは、人間以上に色が見えているとも言われている6)。このことから、人間には黒に見えるカラスであるが、鳥同士ではカラスは単純な黒でない可能性もある。一般的にヒトが識別する赤、青、黄を混色すると、光では色が明るくなり、白になる。色材では色が暗くなり、黒となる7)。これを鳥に応用すると、カラスVSその他鳥も同じくして、鳥の中では黒は混色された状態として見なされているに違いない。すなわち、その他の鳥にとってはカラスの黒は、収縮・後退化した色であり、かつ、混色された認識しにくい色となる。言い換えると、カラスは他の鳥にとって、いわゆるステルス性の高い鳥になる。
カラスの黒色の元は、人間と同じくメラニン色素にあるが、カラスの場合は、それにチロシナーゼという酵素が関わって黒となる8)。しかしながら、なぜ黒となったのかは、カラスのメラニンとチロシナーゼが高い理由だけでは、分からない。ある意味、他の動物と比較して、ヒトの体毛が少ないことと同じ疑問と言えるかもしれない。しかしながら、カラスの黒は、カラスが生き延びる上で有利に働いたことは間違いなく、そこには鷲や鷹のように鳥類における殿様的な地位にならなかったカラスが、あえて忍者的な地位を選んだような気がしてならない。カラス界には、「カムイ伝」の如し、カラス忍者「カムイ」がいたとしても不思議ではない。
1) http://sozai.kingyomon.com/animal/1022/ (閲覧2016.2.18)
2) http://iro-color.com/episode/about-color/white.html (閲覧2016.2.18)
3) http://iro-color.com/episode/about-color/black.html (閲覧2016.2.18)
4) http://commonpost.info/?p=89851 (閲覧2016.2.18)
5) http://www2.tbb.t-com.ne.jp/mark/torime.html (閲覧2016.2.18)
6) http://www.hbs.co.jp/knowledge/point/point15.html (閲覧2016.2.18)
7) http://tomari.org/main/applets/iro/gen.html (閲覧2016.2.18)
8) http://www7.plala.or.jp/gm2/crow/kuro.htm (閲覧2016.2.18)