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題名:おにぎりと愛情
報告者:トシ

 日本のおにぎりの起源は古く、弥生時代にまで遡ることができる。1987年に石川県旧鹿西町(現中能登町)の杉谷チャノバタケ遺跡から、石ころほどの炭化した米の塊が発見された。これが日本最古のおにぎりとされ、当時からおにぎりは三角形であった1)。そのおにぎりを図に示す。実際は、日本のもち米を使用して、

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図 日本最古のおにぎり2)

蒸された後に焼かれたものと推定されており、おにぎりというよりもちまきに近かったようである。また、三角形は、尖った部分から神が降りてくるという信仰があったためと考えられている3)。しかしながら、にぎる、かつ、三角形、と今のおにぎりのイメージがすでに当時からあったことが伺われる。
 おにぎりは米を主体とした形態のため、米の内容がその形の成否を分ける。日本以外にも米を主食とする民族は数多くある。しかしながら、おにぎりが日本固有の食形態となった理由には、その日本の米に特徴がある。他の国の米はぱさぱさして、にぎることが難しいが、しっとりとした日本の米は、にぎるにふさわしい米であった。そのため、日本の米の食形態としておにぎりが当たり前となり、今では梅干だけではなく、鮭、ツナマヨ、肉味噌などの様々な具材がその内部に封入されるまでに発展した。形も三角、丸、俵型など様々ある。
 一方、手でにぎるおにぎりは、その料理方法から、食べられないという人もいる。正確には他人がにぎったおにぎりは47.8%で食べられない派が多い4)。これが他人ではなく、親や機械でにぎられたものであれば、食べられるというデータもある5)。そのため、コンビニで売られている機械作りのおにぎりに関しても、特に問題がないようである5)。その背景には、あらゆる施設の入口に消毒ボトル(ジェームズマーティンのようなおしゃれなボトルもあるが)が置かれるようになった異常なまでの現在の潔癖さもあるが、にぎった人の生活環境が詳しく分からないことで、おいそれとそのおにぎりを口にできないといった精神的な要因も大きいのであろう。岸井4)は、おにぎりは象徴的に見れば「(関係を)結ぶ・固める」という意味があり、そのおにぎりを口にする関係は、生身の一体感や関係性を受け入れた「われわれ」関係であると述べている。このことから、おにぎりは、少なくとも人がにぎるおにぎりは、作る側と食べる側の確とした愛情関係が背後に必要とされる食形態であることが分かる。

1) http://news.mynavi.jp/news/2014/02/26/346/ (閲覧2015.10.5)
2) http://taninouen.e-monda.com/hajimari.html (閲覧2015.10.5)
3) https://gochikuru.com/feature/onigiribento/info/ (閲覧2015.10.5)
4) http://jijico.mbp-japan.com/2015/07/16/articles18112.html (閲覧2015.10.5)
5) http://www.sankei.com/premium/news/150328/prm1503280019-n1.html (閲覧2015.10.5)



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