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題名:ヒトの性行為(交尾)に隠された意味
報告者:ナンカイン

 本報告書は、基本的にNo.261の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 報告書のNo.261において、ヒトがなぜ裸を恥ずかしがるのかについて考えるとともに、その意識の根源について探った。そこでは、ヒトが生殖器を隠す背後に、生殖器が行う①性行為と②排泄(尿)による2大行為が、ヒトが裸を恥ずかしいと思わしめていることを推測できた。ここでは、その2大行為でも、①性行為を中心にその意味を考えてみたい。
 少なくとも、生殖器の役割の一つである排泄(尿)に関しては、現代を持っても恥ずかしさが少ないことが予想される。その理由についてはNo.261に示した通りである。しかしながら、性行為は、それに比較して、あらゆる意味で秘めごとも多い。実際に性行為に基づくヒトの生殖として成り立つのは、女性であれば生理が始まる10~15歳ぐらいを境に1)、図のように卵子との関係で37歳ぐらいまでが理想となるであろうか。その性行為(以下は交尾の意味も含む)に関しては、生物学的には子孫の繁栄を示し、ヒト以外の動物では、その行為に関する後ろめたさなどは微塵も感じられない。そこには、その行為を行うことで、その種が生き残れる可能性(種の保存)が高くなるからである。それを表すように、より原始的な動物ほど、種を残すための性行為(交尾)に関する方略も多く、その一つとして多産がある。ヒトと同じ類である哺乳類を取ってみても、ネズミなどの原始的な哺乳類は多産であり、ゴリラやチンパンジー、あるいは、ヒト

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図 年齢に伴う卵胞数2)の一部改図

はそれに比べてかなり少産である。その時点で、逆に種として生き残れる可能性が低くなる。しかしながら、なぜかヒトは少産であっても、種として個体数が圧倒的に多い。では、なぜヒトは少産であっても種の個体数が多く、かつ、なぜその種の保存の背景にある性行為(交尾)自体に秘めごとが多いのであろうか。
 そこには、種の保存と別の観点が必要となることが明らかである。ヒトは進化の過程でいくつかの選択圧により、ヒトらしく進化した。その最たるものが直立二足歩行であるが、その他にも、メスの発情期の喪失も挙げられる3)。近縁のゴリラやチンパンジーでもメスの発情期は存在する。ヒトのメスの発情期が喪失したことは、裏を返せば、年がら年中発情することが可能であることをも意味する。すなわち、ヒトは成体となれば、いつでも性行為(交尾)が可能となり、同時に子孫を繁栄させる機会も多くなる。ただし、やみくもに年がら年中の性行為(交尾)に基づく多産は、何かしらの制約がないと種同士での食料などに関する種の生存の危機を招く。そのため、ヒトは生殖器を隠すことで、性行為(交尾)そのものに神秘的な概念をもたらし、その結果として多産への抑止力をもたらしたのかもしれない。

1) http://www.unicharm.co.jp/girls/moon/01.html (閲覧2016.5.21)
2) http://www.akanbou.com/knowledge/cat2/01.html (閲覧2016.5.21)
3) 三井誠: 人類進化の700万. 講談社. 2005.



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