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題名:見たけど理解できなかった
報告者:ダレナン

 本報告書は、基本的に No.2045の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 彼女と今を一緒に過ごすことで、僕たちは何かの交流のようにそれを感じていた。
 日本での電圧は100Vだったが、ここイスタンブールの電圧は220Vあり、しかもコンセントのケイジョウも異なっていた。しかし、コンセントのケイジョウとストーリーのコンセプトが異なっていても、僕たちの交流は互いに100V~220Vで変圧され、意気投合していた。変圧された交流は、気が付くとストーリーをどんどんと更新し、実のところ読者さまにとってのストーリーは後進しているかもしれないが、それでも互いの祖母を感じつつ交信し、お互いの心の中は亢進しなければならなかった状況にまでに僕たちは陥った。そして、その饒舌さ故に、ジャッカン口唇も乾いていたような…、そんなこうしん攻めだった。
 正直に言えば、この飢餓状態は、エヴァンジェリンとのキスで簡単に満たされたのかもしれない。でも、僕は、お互いの口を塞ぐよりも、今は交神を図るときだ。そう、肉体的なものよりも、精神的なものを神に求めた。言うなれば、エヴァンジェリンは僕にとって女神なんだ。
 一方では、口の乾きと同じようにスマホも充電してほしいとその乾きを%で訴え、僕は彼女にそのことを伝え、バー内の一角にあったコンセントでしばし充電していた。コンセントに挿してしばらく充電していたところ、その時スマホが急ににゃおーんと大きく鳴き始めた。それは着信などではなかったが、バーのフロア全体に響き渡るような割と大きな声だった。
(何だこの声は…)
 でも、どうやら僕以外は聞こえていなかったらしい。周りを見渡すと、誰も僕を見たり、不思議がってはいなかった…と思っていたら、エヴァンジェリンが近づき「今、たぶん子ネコの声がした…。そこ、そのミチオのから…」と僕のスマホを指していた。
「聞こえた…の?」
「うん」
「それって、子ネコなの?」
「そうだと思う。わたし、うちで”リドル”っていう名の子ネコ飼ってるから。わたしの耳にはたぶん子ネコに間違いない」
「えっ、リ…リドル?」
「そうよ。リドルっていう名なの、何か変?」
 そうして僕は、彼女に飛行機の中で見た夢、見たけど理解できなかったINCEPTION(図)の如く、その様子を伝え始めた。

図 INCEPTION1)

1) https://www.pinterest.jp/pin/737745982710971367/ (閲覧2021.5.28)



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