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題名: 女性ポートレイト写真における白と黒の表現法に潜む魅力と魔力
報告者: アダム&ナッシュ

 現在の写真の多くはカラーが標準であり、白黒で仕上げることは非常に少ない。銀塩時代は、白黒フィルムからカラーフィルムへと変遷した経緯があったために、古くは白黒も多かった。しかしながら、デジタル時代となった現在では、白黒で仕上げた写真はあまり見かけることがない。カラーで撮影し、コントラストを上げ、色味を濃くする仕上げはあっても、あえて白黒で仕上げることは、やはり2色ゆえに面白みに欠けやすいのかもしれない。あるいは、単純に、白黒を好む(馴染んでいる)人も世の中に少なくなったことも原因のひとつかもしれない。ましてや、商業的な写真であれば、白黒を選ぶことはほとんどないであろう。しかしながら、カラーと違って、その名の通りで白と黒のみで表現する白黒写真は、視覚から余分な色味もなくなり、写真から得るインパクトも大きくなりやすい。日本のストリート写真の代表者でもある森山大道氏の写真などは、この白黒写真の持ち味を生かしている点でも有名な方である。
 一方、女性のポートレイト写真では、ストリート写真以上に白黒の率は少なくなった感もある。しかしながら、美しさ、ファッション、フェティッシュのジャンルを専門に扱う、現代の白黒写真のマスターとしても知られる、オーストラリアのPeter Coulson氏1), 2)は、あえて白黒写真を女性のポートレイト写真の表現のひとつの方法として積極的に選択している。図にPeter Coulson氏の白黒写真の作例を示す。ちなみに、この写真はHasselblad 社のH3DII-50が用いられ、撮影で使用したレンズは100mm ƒ2.8、シャッタースピードは1/100s、感度はISO 100という条件である4)。このH3DII-50は、Hasselblad 社の2世代前ほどのカメラシステムとなるが、それでも50 Megapixelの解像度で、Image Sensor のサイズは36 x 48mmで中判に分類されるシステムとなる5)。近年は、最新のH6D-100cでも撮影していることが氏の500px6)からも分かり、このH6D-100cは普通に車が買えるカメラシステムの値段でもあることは、カメラ好きの方ならよくご存じであろう。なんとも羨ましい限りである。しかしながら、氏の図の白黒写真をみるとそのカメラシステムを使う氏の技量の高さもよく理解できる。白と黒の2色にも関わらず、美しいモデルさんの感情までもそこに浮かび上がり、まさにカラ

図 Peter Coulson氏の白黒写真の作例3)

ーを超える白と黒の表現法に潜む魅力と魔力の存在を感じずにはいられない。

1) http://www.hasselblad.com/jp/inspiration/hasselblad-ambassadors/our-ambassadors/peter-coulson (閲覧2017.5.12)
2) http://peter-coulson.com.au/ (閲覧2017.5.12)
3) http://dontetidwell.com/peter-coulson/ (閲覧2017.5.12)
4) https://500px.com/photo/116414085/audery-by-peter-coulson (閲覧2017.5.12)
5) https://www.bhphotovideo.com/c/product/571017-REG/Hasselblad_70380532_H3DII_50_SLR_Digital_Camera.html (閲覧2017.5.12)
6) https://500px.com/petercoulson (閲覧2017.5.12)



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