題名:コカ・コーラ(も)がモンスターになる
報告者:トンカツる
本報告書は、基本的にNo.787の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
先の報告書でエナジードリンクとして飛躍を遂げているMonster Energyを取り上げ、それについて調査した。さらに、報告書の最後では、「今ではコカ・コーラも脅かす存在へと躍進している」ことも述べた。ここでは、それぐらいでは負けることのないコカ・コーラのモンスター的な存在について調査したい。
コカ・コーラを発明したのは、薬剤師のジョン・ペンバートン博士であるが、コカ・コーラを世に普及させたのが、事業家のエイサー・キャンドラー氏となる。文献1)によると、キャンドラー氏もコカ・コーラで一大事業を起こす前は田舎からアトランタにやってきた薬局の見習い奉公であったが、1888年にペンバートン博士が完成させたコカ・コーラの法的権利を全面的に取得した。そして、多忙な人のたちのための強壮薬というコカ・コーラのセールスポイントも功を奏し、1890年にコカ・コーラにわが未来ありと確信したキャンドラー氏は、コカ・コーラの権利を得て、ザ・コカ・コーラ・カンパニーを1892年1月29日に設立する。さらに、1895年末にはアメリカ中の州と準州で飲まれるまでに広まる。しかもその当時からのコカ・コーラのロゴ(図)は、現在も踏襲され、コカ・コーラのイメージ(コは二つとも大文字で始まり、ハイフンでつなぐ1))
図 1880年代末のコカ・コーラの店頭看板1)
が脈々と受け継がれている。ここにコカ・コーラの偉大さが潜んでいる。アップルコンピュータの創始者で、偉大な実業家でもあるスティーブ・ジョブズ氏は、コカ・コーラと仲の良いペプシコーラ(No.780も参照)の事業担当社長であったジョン・スカリー氏を
このまま一生砂糖水を売り続けたいのか、それとも私と一緒に世界を変えたいのか?
(Do you want to sell sugared water for the rest of your life, or do you want to come with me and change the world?)
と口説いたのは有名な話ではあるが、こうしてコカ・コーラの歴史を見ると、さすがにジョブズ氏といえども、スカリー氏がコカ・コーラの役員であった場合は、砂糖水とは揶揄しにくかったかもしれない。やはりコカ・コーラは、その歴史から鑑みると、アメリカを象徴する企業、あるいは、アメリカ文化の象徴でもあろう。ただし、スティーブ・ジョブズ氏がペプシコーラとコカコーラのどちらを好んで飲んでいたかは、不明であった。しかしながら、文献2)によると、ジョブズ氏は「大学中退後もリード大学のキャンパスを放浪し、コカ・コーラの空き瓶拾いや心理学科の電子装置修理で日銭を稼ぎながら」、とあることから、コカ・コーラには思い入れがあったのかもしれない。
前置きが随分と長くなったが、表題として伝えたいのは、ザ・コカ・コーラ・カンパニーは2014年8月14日にモンスター・ビバレッジ(Monster Energyの会社)の株式16.7%を取得し、ザ・コカ・コーラ・カンパニーは、事実上Monster Energyの世界的な優先的流通パートナーとなったことである。ゆえに、この日は、コカ・コーラ(も)が、Monsterによって、モンスターへとなった日として、今後語られるに違いない。
1) ペンダグラスト, M: コカ・コーラ帝国の興亡. 徳間書店. 1993.
2) http://www.wikiwand.com/ja/スティーブ・ジョブズ (閲覧2018.5.2)
3) https://jp.reuters.com/article/coca-idJPKBN0GE2C820140814 (閲覧2018.5.2)