題名:人相学に属するであろう科学的な研究に基づく人相学の科学的な水準
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.715の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
先の報告書にて人相学、文献1)の石丸氏は占いに属しがちな人相学ではなく、それを人相科学(パーソノロジー)として科学的なアプローチを試みている。しかしながら、そのアプローチも学術的な論文の引用がなく、現在の科学的な状況から鑑みると、不十分さがいなめない。そこで、本報告書では人相学に属するであろう科学的な研究を調べ、その内容から現在までの人相学に属するような研究の科学的な水準を見極めたい。
かつての朝鮮王朝時代には人相学を生業とする職業があった。それが観相師(かんそうし)と呼ばれる職業である。韓国のハン・ジェリム監督によって映画「観相師」があるので、その時代背景はそちらを見ていただければ幸いであるが、顔を見ただけで性格や過去、未来までも言い当てることができる観相師ネギョンが、国を揺るがす争いに巻き込まれ、翻弄される運命を描いた映画であり、韓国内でも多くの賞に輝いている映画でもある2)。ここでは、占いでもなく、その時代によれば現在と同じような水準の科学でもないが、それでも人相によってその人物の性格、および、その人物像を把握する能力は、かつてからあったことが伺われる。現在の科学をもってしても、分析できないであろう観相師の直感的な能力も、そこにあったのかもしれないが、いずれにせよ、顔はその人なりを表していることにもなろうか。
一方、人相科学の起源を調べると、古くは古代中国・古代エジプト人の研究から始まり、その業績をソクラテスとその弟子である、プラトンとアリストテレスに受け継がれ、大昔から存在する3)。その人相科学がやがて先の報告書でも示した非科学である骨相学に結び付くも3)、人の顔からその人物なり読み解く、読み解きたいのは、やはり何らかの背景があるからに違いない。そこで、現在の科学水準では人相学がどこまで解明されているのであろうか?
アメリカのPrinceton UniversityのAlexander Todorov博士らの研究によれば、進化において顔の処理に特化した脳領域のネットワークを使って、基本的な社会的信号や瞬間的な感情状態を、顔から読み取る能力が人類には備わっているとされる4)。さらに、顔の写真から感情的な反応を調べ、顔に対する信頼性と支配力という
図 顔と感情との間の関係5)
2つの根本的な要因によって図のように顔と感情との間の関係を提示している5)。Todorov博士も含めて、その他の人相学に属するであろう研究の流れは文献6)に詳しくあるので、興味のある方はそちらを見ていただきたいが、間違いなく人相学は、人類が進化の過程で備えた一つの機能であろうことが予想される。
1) 石丸賢一: 見た目だけで人を見抜く技術. PHP研究所. 2014.
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%B3%E7%9B%B8%E5%B8%AB (閲覧2017.1.28)
3) https://lacalhpilo1985.wordpress.com/2014/12/12/人相学講座の立ち上げ/ (閲覧2017.1.28)
4) Todorov, A.: Face Value: The Irresistible Influence of First Impressions. Princeton University Press. 2017.
5) http://www.vub.ac.be/ESAN/2008Meeting/todorov.pdf (閲覧2017.1.28)