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題名:”情動”の多大なるオーバーフローに伴う覚醒 -残酷な天使のテーゼへの本章-
報告者:ナンカイン

 本報告書は、基本的にNo.637の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 先の報告書にて”感情”の発露に伴う”情動”のテーゼ(ヒトの命題)について考え、”情動”に関する神経回路を調べることで、それらの起因を探った。さらに、”感情”と直接に繋がれる行動の表出が”情動”であり、それをおさえきれないオーバーフロー、いわゆる偽のテーゼが生じる可能性についても触れた。ここでは、その”情動”が”理性”を覆い、多大なる”情動”のオーバーフローによって生じた覚醒について考えたい。
 テレビ版の新世紀エヴァンゲリオンを見たことがある方なら、今さらでもない話題ではあるが、第拾九話に登場する第14使徒ゼルエルによってEVA初号機に載る主人公の碇シンジは覚醒(テレビでは暴走としてテロップされ、暴走と覚醒の違いはあるが2)、ここでは一旦覚醒で統一したい)した。それは、EVA初号機の活動限界を超え、さらに初号機と碇シンジによる400%を越えるシンクロ率でもって、である。エヴァンゲリオンはこれもよく知られるところではあるが、パイロットとA10神経で接続され、シンクロ率が高ければ高いほど、エヴァンゲリオンとの精神的な繋がりも高くなる仕組みとなる3)。A10神経は、報告書のNo.619にも示されているように、快楽の中枢とされるも、その一方では、その部位の働きから”感情”と結びつくために、これが暴走すると、”情動”はオーバーフローし、覚醒に至る。ここでは、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を例に碇シンジの覚醒状態を図に示す。報告書のNo.636でも示したように、元々セルフコントロールができないのが”情動”の特徴でもあることから、”情動”のオーバーフローは、”感情”

図 EVA初号機の覚醒3)

にも、”理性”にも影響を及ぼし、その結果、「ほとばしる熱いパトス(理知的な精神に対して、感情的・熱情的な精神のことを指す4))」が全人格を支配する。テレビ版「新世紀エヴァンゲリオン」や映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」における”情動”のオーバーフローと考えられる碇シンジの覚醒は性急であったものの、これが緩徐に真のテーゼによってもたらされれば、報告書のNo.604でも示されたように、思春期の離脱にも繋がり、やがてヒトは人格的にも立派な大人へと成長する。そこで、「だけどいつか気付くでしょう その背中には 遥か未来 めざすための 羽根がある」こととなる。そこでもって、「少年は神話」に入る。

1) https://ja.wikipedia.org/wiki/使徒_(新世紀エヴァンゲリオン) (閲覧2017.10.26)
2) http://lineq.jp/q/29483352(閲覧2017.10.26)
3) https://giphy.com/gifs/evangelion-shinji-ikari-20-CUl5JdmCLM3hC (閲覧2017.10.26)
4) https://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%88%E3%82%B9-115418 (閲覧2017.10.26)



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