.

題名:電気ウナギは電力会社の社長になれるか?
報告者:トシ

 電気ウナギはその名の通り、電気を発生させるウナギである。英語名はElectric eelとなる1)。Electricは「電気の、あるいは、電気的な」の意があり、電気ウナギは日本語名だけではなく、英語名も電気とつくことが分かる。ちなみに、電気ウナギ以外に電気を発生させる魚には、電気ナマズやシビレエイがある1)。それらが発生させる電圧は、電気ウナギは500~800 V、電気ナマズは400~450 V、シビレエイは70~80 Vである2)。日本の一般家庭のコンセントからの電圧が100 Vであることから、少なくとも電気ウナギ、電気ナマズはその名に恥じないくらいに電圧を放電していることになる。一方、人間による電気の発見は2600年前に遡るが3)、電気を自由に利用できるようになったのは電池を発明したイタリアの物理学者のアレッサンドロ・ボルタ3,4)以降になる。電圧の単位のVはボルトであり、このボルタに由来している。
 ここで表題の「電気ウナギは電力会社の社長になれるか?」であるが、その答えを以下に考察してみよう。
 電気ウナギの電圧は前述したように500~800 Vである。そこで500 Vを標準電圧として、次に放電時の電流を調べると1 Aとなる1)。電力は電圧×電流により計算できるため、電気ウナギの電力は500×1の500 Wとなる。500 Wの家電製品は電気コタツに相当するため5)、電気ウナギで電気コタツが働くのかというと、然うは問屋が卸さない。電気ウナギの放電時間は、1ミリ秒、すなわち1/1000秒である6)。少なくとも1分間電気コタツを働かすには、1000匹の電気ウナギが順次放電しなければいけない。さらに、電気コタツは冬の間、何時間も運転する。そこで、仮に3時間電気コタツでぬくぬくするとなると、

500×1×1000×60×60×3=5400000000匹

の電気ウナギが順次放電しないといけないことになる。ただし、電気ウナギは、ただ放電するのではない。実は、小さな生き物に電気ショックを与えてエサを捕獲するために主に使われる6)。このことから、この5400000000匹に対してエサとなる生き物を順次与えることが必要となる。仮にエサを小さな魚、ここでは最も安い金魚一匹を与えるとし、安い金魚一匹を約30円として計算すると、

5400000000×30=162000000000円

かかることになる。言い換えれば、電気コタツのぬくぬく3時間に、162000000000円もかかるのである。「社長、大赤字です」と社員たる電気ウナギが言ったかは不明だが、電力会社としてはコストパフォーマンスがあまりにも悪いであろう。

1) https://ja.wikipedia.org/wiki/デンキウナギ (閲覧2015.9.10)
2) http://www.chuden.co.jp/kids/kids_denki/sizen/unagi/ (閲覧2015.9.10)
3) http://www.megaegg.ne.jp/~denki-hiroshima/mametisiki/1sittoku.pdf (閲覧2015.9.10)
4) https://ja.wikipedia.org/wiki/アレッサンドロ・ボルタ (閲覧2015.9.10)
5) http://www.eco-taisaku.net/denki/denkidai_list.html (閲覧2015.9.10)
6) http://fm7.hatenablog.com/entry/2014/12/05/162754 (閲覧2015.9.10)



…「電気コタツ」の品への案内は、こちらになります。


地底たる謎の研究室のサイトでも、テキスト版をご確認いただけます。ここをクリックすると記事の題名でサイト内を容易に検索できます。