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題名:語られざるドラキュラを知ることで知り得た語りの英雄
報告者:トシ

 ドラキュラに始まり、狼男、フランケンシュタイン、と西洋のモンスターには魅力が多い。それは、古くから存在する小説に端を発するだけではなく、映画という媒体によっても魅力が増しているからに他ならない。日本の場合は、モンスターというよりもお化けが主流であるため、西洋のモンスターとの魅力とはまた異なった様相となる。鈴木光司の小説「リング」の貞子のようなお化け的な存在は日本では描かれても、先にあげた西洋のモンスターに匹敵する存在は意外と少ない。挙げるとしたら、さしずめ墓場の鬼太郎になるであろうか。
 ここでは、西洋のモンスターの中でもドラキュラに焦点を合わせると、ブラム・ストーカーによる「吸血鬼ドラキュラ」の小説に忠実な近年の映画化は、フランシス・フォード・コッポラ監督による1993年の映画「ドラキュラ」か、ダリオ・アルジェント監督による2014年の映画「ドラキュラ」になる。ただし、同じ小説を題材に映画化しても、コッポラ監督による「ドラキュラ」は良評価であるが1)、アルジェント監督による「ドラキュラ」はかなり酷評であった2)。筆者は両ドラキュラとも鑑賞したが、アルジェントの研究者3)としても名高い矢澤利弘博士とて、この評価は残念であるに違いない。筆者もアルジェント好きのため、酷評は残念に思えた。アルジェントらしい「ドラキュラ」であったと、ここではあえて評価したい。
 このようにして、小説「吸血鬼ドラキュラ」以降、正統派も含めて様々なドラキュラ映画が登場した。ゲイリー・ショア監督による2014年の映画「ドラキュラZERO」(原題:Dracula Untold(語られざるドラキュラ))もその一つである。「ドラキュラZERO」は15世紀当時のドラキュラ伯爵の背景であるワラキア公国の君主であったワラキア公ヴラド3世とオスマン帝国と対立が描かれ、さらにヴラド3世も悪しき者としては描かれていない。ゆえに新しい視点の映画のドラキュラである。近年の歴史研究においても、トランシルヴァニア地方(ルーマニア)において、ヴラド3世は祖国を守った英雄として再評価されている4)。
 今回、この映画「ドラキュラZERO」が筆者としては好評価であったために、鑑賞後にWeb上でいろいろと調査した。その結果、ゲイリー・ショア監督はこれが長編映画の初監督であることや、ヴラドを演じた俳優ルーク・エヴァンス氏がゲイであるなどの妙な情報をも得ることができた。さらに、それ以上に、この映画を紹介している新稀少堂日記さんのブログにある映画「ドラキュラZERO」の紹介が目に入った。なぜなら、この方がこの映画の紹介を第8351回5)として、さらに病気と闘い亡くなる直前までブログを更新し続けていたことに感銘を覚えたからである。なお、最後は、第9416回「中下咽頭癌 入院58日目、3時起床、着替えはせずにパソコンの前に」6)と題され、残念ながらこの回で更新が途切れている。そのため、語られざるドラキュラを知ることによって知った新稀少堂日記さんのブログ情熱を語らねば、と筆者なりに感じた。まさに、表題にある「語られざるドラキュラを知ることで知り得た語りの英雄」である。これだけのブログを更新し続け、さらに、病床でも更新し続けたブログ情熱を受けて、新稀少堂日記さんを語りの英雄と称したい。

1) https://www.amazon.co.jp/dp/B00FIWN264/ (閲覧2017.4.3)
2) https://www.amazon.co.jp/dp/B00LK3NJHW/ (閲覧2017.4.3)
3) http://jmedia.tv/argento/ (閲覧2017.4.3)
4) ストイチェスク, ニコラエ: ドラキュラ伯爵. 中央公論新社. 2002.
5) http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11946429122.html (閲覧2017.4.3)
6) http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-12050203251.html (閲覧2017.4.3)



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