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題名:てんとう虫コミックスによる「ドラえもん」の発行傾向
報告者:トシ

 「ドラえもん」の名を知らない人はいないであろう。それほど国民に愛されるキャラクターとして有名である。近年は海外でも「Doraemon」として人気を博している。特に東アジア・東南アジア諸国で人気がある。その「ドラえもん」は1969年に小学館の学年誌に連載され、1973年に初テレビアニメ化されている1)。作者は、言わずと知れた藤子・F・不二雄である。「ドラえもん」のほかにも、「オバケのQ太郎」、「パーマン」、「21エモン」、「ウメ星デンカ」、「モジャ公」、「ポコニャン」、「キテレツ大百科」、「エスパー魔美」など有名な作品を創作している。これらのほとんどがテレビアニメ化されているが、「21エモン」、「ウメ星デンカ」、「モジャ公」はあまりヒットせず、藤子・F・不二雄の最もスランプ時代の作品でもある。実は「ドラえもん」も開始当初は人気が今ひとつであったが、単行本の全6巻の発売によりヒットした。そのため、「ドラえもん」の6巻では「さようならドラえもん」という回があり2)、話の上では一度「ドラえもん」が終了している。
 「ドラえもん」の漫画本は、その人気さゆえにいくつかのテーマにそってまとめた編集などがあり、様々な出版社からも発行されている。しかしながら、最も有名な発行元は、小学館であろう。小学館の漫画単行本レーベルの一つであるてんとう虫コミックスから1974年から1996年に渡って全45巻の「ドラえもん」が発行され、これが所謂「ドラえもん」の漫画単行本のスタンダードになるであろう。
 今回、このてんとう虫コミックスから発売されている「ドラえもん」の初版における発行の月齢を調べ、その傾向を探った。なお、発行の年月は文献1)を参考した。それに基づく図を下に示す。

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図 「ドラえもん」の発行月齢

これを見ると1~6巻までは傾きが少なく、7~21巻までは少し傾きが大きく、21~38巻までは一定の傾き、38巻からはかなり傾きが大きくなった。1~6巻までは前述したヒットする前の勢いであると思うが、7~21巻までの傾きはテレビアニメや映画による影響と思われる。1979年に2回目のアニメ化、1980年に「のび太の恐竜」が映画化され、18、19巻の発行あたりにその映画が上映されたが、この7~21巻までは様々な映像化に伴って多忙を極めた時期ではないだろうか。21~38巻までは一定のペースで創作できたが、38巻以後の傾きの変動は、藤子・F・不二雄は1986年に胃がん、1992年に肝臓がんを患い、1986年は37巻の発行年に当たるため、それによる影響と思われる。この図から藤子・F・不二雄の人生が読み取れ、スランプを脱した後の氏において「ドラえもん」が如何に大きな比重を占めていたかが推測できる。

1) https://ja.wikipedia.org/wiki/ドラえもん (閲覧2015.8.31)
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/ドラえもんの最終回 (閲覧2015.8.31)



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