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題名:子供と作る唐揚げの分業について
報告者:エコノ

 本報告書は、基本的にNo.221の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 ある程度の年齢にまで子供が成長すると、親が行うことを少しずつ手伝えるようになる。料理もその一つである。ただし、料理は火を使う、あるいは、包丁を使うなどの危険な工程もあるため注意が必要とされる。近頃は、IHコンロが一般的になったため、火そのものの危険は少なくなったものの、IHにかける鍋などの高温を考えると、やはり危険はなくならない。そのため、どの工程を子供にしてもらい、どの工程を大人が手伝い、どの工程を子供に任せるのかが、子供と料理する際の重要なポイントとなる。一方で、子供にとってあまり興味のない(好みでない)料理を手伝わせることは、子供の料理に対する意欲をそぐこととなる。そこで、どのような料理を選択するのかもポイントとなる。唐揚げは、No.221で報告されたように、肉の揚げ物たる3大料理のトップに位置する。そのため、唐揚げを好まない子供は少ないことが予想される。そこで、本報告書では、子供と唐揚げ(図)を作ることを想定し、どのような工程を子供に任せることが可能かについて検討したい。
 おいしい唐揚げは、ケンタロウ氏(*)の書1)に記載されている。2~3人前として、材料は、鶏もも肉2枚、a(しょうが汁1片、おろしにんにく少々、しょうゆ大さじ1 1/2、みりん大さじ1/2、ごま油小さじ1、塩1つまみ、こしょう適宜)、片栗粉である。工程は、

1.鶏もも肉を切る。
2.鶏もも肉をaにつけ、もむ。
3.片栗粉にまぶす。
4.揚げる。

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図 唐揚げのイラスト2)

である。このうち、1と4は包丁と火を使うために、危険性が高い。そのため、子供のみよりも、大人のアドバイスの上で実施する、あるいは、大人の手伝いが必要となるであろう。2と3については、危険性が少ない。あるとしても、床にこぼすなどの程度ですむ。そのため、この工程は子供に任せることができるであろう。よく考えると、この2と3の工程は、子供にとって一種の泥遊びや砂遊びに似た要素があり、慣れれば下手な大人よりもうまくなる可能性がある。出来上がりに際し、4の揚げの工程も重要であるが、2と3は唐揚げの食味や食感に大いに影響する工程である。この工程がうまく遂行できれば、子供は唐揚げを作ったことに対する自信に繋がる。子供の能力を鍛えることとして、繰り返しの小さな成功体験を積ませることが重要であるとされているが(No.162を参照)、唐揚げの2と3の工程は、子供自身が出来上がった唐揚げを「美味しい」と認めることができれば、一つの小さな成功体験に繋がるに違いない。

謝辞:おいしい唐揚げについては、トンカツる氏に教えて頂いた。ここに感謝の意を表したい。
*:本報告書を書く際に、料理家のケンタロウ氏がバイクにて重篤な事故にあったことを知った。ケンタロウ氏の料理の一ファンとして、氏の一刻も早い体調の回復を期待してやまない。
1) 国分太一、ケンタロウ: 男子ごはんの本. 角川グループパブリッシング. 2009.
2) http://01.gatag.net/tag/%E6%8F%9A%E3%81%92%E7%89%A9/ (閲覧2016.3.17)



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