題名:カレーのスパイスのターメリックの成分として含まれるクルクミンの効能
報告者:トシ
報告書のNo.21ではカレーライスとライスカレーの違い、No.85ではインスタントカレーの歴史と、現在まで様々なカレーにまつわる報告を実践した。ここでは、さらにカレーについて深く知る一助として、カレーのスパイスの一つであるターメリックに焦点を合わせ、その効能について調べたい。
カレーの色と言えば、おおよそ黄色か茶色となる。その黄色となる色を決めるスパイスは、ターメリックが最たるものとなろうか。例えば、文献1)のカレーの基礎知識によると、北インドカレーには、アーモンド、ガラムマサラ、クミンシード、コリアンダーなど20種類以上の香辛料が含まれているが、色付けとしての役目を持つスパイスは、サフラン、ターメリックパウダー、パブリカパウダーとされる。サフランやパブリカパウダーは色としてやや赤みを帯びている。このことから、黄色となる決定権は、やはり黄色の色を帯びているターメリックとなるであろう。そのターメリックを図(左)に示す。なお、ターメリックは日本では黄色のたくあんにも使われ、近年はウコン(図の右)としても馴染み
のある名前となった1)。この図で示すように、ターメリックは明らかな黄色のスパイスである。
図 ターメリックとウコン2)
カレーでのターメリックの利用法は先にも述べた色付けにある。方や、ウコンとして調べると、その効能の一つに、二日酔いを予防することが挙げられる3)。しかしながら、これは科学的データに裏付けられたものではなく、検証された効能としては、消化不良の改善や健胃効果のみとなるようである3)。この効能に基づくと、ターメリック、別名ウコンが豊富に含まれるカレーも、この効能の一部は持っている可能性が高いであろう。
一方、ターメリック(ウコン)には、黄色のポリフェノール化合物であるクルクミンという成分が含まれる。このクルクミンは、脂肪組織を構築するために必要な血管新生と呼ばれる新たな血管成長を抑制し、結果として脂肪組織の増殖を抑えることができると言われている 5), 6)。さらに、歯肉炎の治療のための一般的なうがい薬成分の自然の代替物として、このクルクミンが歯肉炎の予防効果も持つと注目されている2)。
ターメリックにおけるクルクミンの含有量は約3〜4%である2)。このたった3〜4%に、これらのすごい効能があるとなると、むやみにカレーを食べたくなる。ただ今、筆者のお腹がすいているだけかもしれない、が、ただし、食べ過ぎると、約3〜4%のクルクミンの効能も意味はなさないかもしれない。
1) 原康明(編): カレーの基礎知識. 枻出版. 2012.
2) https://www.curejoy.com/content/turmeric-superior-chemical-mouthwash-oral-health/ (閲覧2017.9.9)
3) http://www.mit-japan.com/ndl/ndl/ukon.htm (閲覧2017.9.9)
4) https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリフェノール (閲覧2017.9.9)
5) https://www.sciencedaily.com/releases/2009/05/090522181238.htm (閲覧2017.9.9)
6) Ejaz A, Wu D, Kwan P, Meydani M: Curcumin inhibits adipogenesis in 3T3-L1 adipocytes and angiogenesis and obesity in C57/BL mice. J Nutr 139: 919-25, 2009.