題名:イタリアのDe’Longhi社にみるデザインの哲学
報告者:エコノ
現在、販売されている家電機器には多くの機能が備わっている。中にはスマートフォンと連動するスマート家電なるものも増えた。しかしながら、テレビなどのメディア機器に関してはその連動は納得いくものの、スマート炊飯器などの家電に至っては、何がどのように連動しているのか不明な点も多い。様々な機能が増えることに越したことはないが、あっても使えない機能は家電としてあまり意味がない。最終的には顧客側の機能に対する需要と供給のバランスが大事であろう。特に家電は年齢層が幅広いために、余計な機能がないほうが使いやすいことも少なくはないであろう。すなわち、多くの機能よりも必要最小限の機能がある家電は、その家電そのものの存在が分かりやすく、操作も間違えることがない。あるいは、機能が少ないゆえに故障がしにくく、しても修理しやすい。それが、「シンプル・イズ・ベスト」を地で行く家電となる。
一方、海外にはよくみるものの、日本では比較的少ないキッチンの設備がある。それが本格的なオーブンである。図1にキッチンにおける本格的なオーブンを示す。海外のドラマなどでは、このようにコンロの下にオーブンがあることを目にすることが少なくはない。それはパンなど、オーブンを使って調理することが、海外の文化事情では当たり前となっているからに違いない。しかしながら、日本では、このような本格的なオーブンを備えた家庭は少なく、その代わりの設備と言えば、オーブンレンジと呼ばれるオーブン+レンジを併せ持った機器になるであろう。オーブンレンジの選択も悪くはない。むしろ2 in 1のため、置き場所には困らないメリットがある。ただし、海外のドラマなどをよく見る人は、図1のような単体の
図1 本格的なオーブン1)
オーブンにも憧れをもつかもしれない。当方もその一人であった。そこで、図1のようでなくとも、単体のオーブンとしてどのようなタイプがあるかを調べると、一つのメーカーに目が行く。それが、イタリアのDe’Longhi社である。近年はエスプレッソコーヒーマシンなどでも有名になったが、古くから単体オーブンのコンベクションオーブンがある。それの一機種を図2に示す。
図2 De’Longhi社のコンベクションオーブン2)
素敵なデザインであるが、そのデザインには“イタリアニティ”というDe’Longhi社の哲学が存在する3)。De’Longhi社のプロダクトデザイナーの一人であるフランチェスカ・チェスター氏曰く、「イタリアに残されている歴史的な遺産や建造物をはじめ、イタリア人やイタリアに住んだことのある巨匠たちの残した作品やアートの歴史、デザイン言語などをしっかりと分析し、その影響を受け継ぎつつ、ファッション的な要素なども加えたものが“イタリアニティ”」とのことである3)。図2のオーブンは、温度、タイマー、調理の3つの赤いつまみだけで構成され、まさに“イタリアニティ”で、「シンプル・イズ・ベスト」でもある。
1) http://oven-glow.co.uk/wp-content/uploads/2011/02/oven21.jpg (閲覧2015.12.17)
2) http://www.delonghi.co.jp/products/detail/id/83 (閲覧2015.12.17)
3) http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=3708072&media_id=36 (閲覧2015.12.17)