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題名:ペプシコーラとコカコーラの戦い
報告者:トンカツる

 ソフトドリンク(炭酸飲料)でコーラと言えば、もちろんシェアの関係から、ペプシコーラかコカコーラの二択となろう。ソフトドリンクの世界シェアをみても、2013年時点では、図1のようにペプシコーラ31%、コカコーラ42%となり、両社で全世界の73%ものシェアがある。
 コーラの始まりは、どちらもアメリカの企業で、前者はペプシコ社(PepsiCo, Inc)、後者はザ コカ・コーラ カンパニー(The Coca-Cola Company)による。ちなみに、ペプシコーラは、1894年にアメリカ合衆国ノースカロライナ州の薬剤師ケイレブ・ブラッドハムが消化不良の治療薬として売り出した飲料が起源となる2)。一方、コカコーラは、ジョージア州アトランタの薬剤師・自然療法家ジョン・S・ペンバートンが、コカインとコーラのエキスを調合したフレンチ・ワイン・コカを、精力増強や頭痛の緩和に効果のある薬

図1 ソフトドリンクの世界シェア1)

用酒として1885年から売り出し、コカインの中毒の恐れと禁酒運動から、ワインに代えて炭酸水の風味付けのシロップとして発売したものが起源となる3)。歴史から言えばコカコーラの方が古いが、両コーラに混入させた内容物は今では考えられない代物でもあり、それは、その当時の歴史的な背景、すなわち、薬剤師による禁酒用飲料の開発に基づく4)。それを示す例として、ペプシコーラやコカコーラ以外にも1885年に発売されたコーラDr Pepperがあるが、これは薬局のオーナー Dr. Charles Pepper にちなむ4)。
 今のコーラはむろん薬や酒ではなく、コンビニエンスストア(コンビニ)でも売られているソフトドリンクの代表格でもある。ただし、日本のコンビニでは、コカコーラのシェアが高く、ペプシコーラを見かけてもしばらくするとコカコーラの一択しかないことも多い。このことから、日本では少なくともコカコーラの方が親しまれていることが予想される。もしかすると世界の地域によっては報告書のNo.760にもあるように、ペプシコーラを積極的に選ぶ場合もあるかもしれないが、その割合は、結局のところ、図1の傾向に落ち着くのかもしれないし、ソフトドリンクの2009年と2012年の世界シェアの割合の推移を

図2 ペプシコーラとコカコーラの戦い1)

見ても大きな変化はなく5)、もはや好みの問題かもしれない。ただし、文献1)でも指摘しているように、両者で73%のシェアは寡占市場(*)とも言える。そのため、寡占市場の企業は、相互依存のためにお互いに結託することができ、あるいは、互いに競争して市場シェアのより大きな割合を得ることができる1)。図2のように戦っているようで、実は仲が良いともいえるペプシコーラとコカコーラである。

*: 少数の大企業によって支配されている市場
1) http://nyl-microeconomics.blogspot.jp/2013/06/ (閲覧2018.4.18)
2) https://ja.wikipedia.org/wiki/ペプシコーラ (閲覧2018.4.18)
3) https://ja.wikipedia.org/wiki/ザ_コカ・コーラ_カンパニー (閲覧2018.4.18)
4) http://www.colawp.com/seasonal/199703/history.html (閲覧2018.4.18)
5) http://iupgrade.net/brand/creates-brand-loyalty/ (閲覧2018.4.18)



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