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題名:スパゲッティをゆでる際のマルチバース的な存在
報告者:ナンカイン

 マルチバースとは、単一の宇宙であるユニバースという考えから、多くの宇宙が実は存在するであろう可能性のもとに生まれた単語である。日本語では多宇宙、あるいは、並行宇宙とも言われている。理論上は存在するマルチバースではあるが1)、観察によってはまだ発見されてはいない、もしも、の宇宙である。
 あの時に、あーしていれば、こーしていれば、という、もしも、は今の世の中には存在しない。時はもとには戻らない。しかしながら、もしも、という存在もマルチバースにおける考え方の一つである。「もう一人のあなた」が、10の10118乗 m離れたところにいて1)、その「あなた」は、もしも、を経験しているかもしれない。それがマルチバースのレベル1とされる。その他にレベル2、3、4とあるが、いずれにせよ宇宙規模では観察可能な範囲外の議論となるため、どのレベルであっても解釈が難しい。
 かつて地球は平面であると言われていた。今の世の中で地球が平面であると唱える人は、限りなく0に近い。地球は平面ではなく、球形である。地平線の先も予想できる。しかしながら、宇宙の地平線はあるのかどうかも今は分からない。限りなく膨張し続ける宇宙の、さらに別の宇宙を探し出せるコロンブスは、一体誰になるのであろうか。
 そのように、現在は確実に観察不可能なマルチバースである。そのため、マルチバースには、もしも、があると言われ、もしも、の世界を夢見たとしても、マルチバース自体が、もしも、の状態であるため、もしものもしも、で結局は現実に戻る。過去のターニングポイントを振り返ったとしても、もしものもしも、で結局ここにいる自分の存在は、今の現実を容認するしかない。映画「スライディング・ドア」のように電車に乗れたか、乗れなかったで、同次元に自分の別の人生があったとしても、ここにいる次元の自分は、別次元の自分の存在には、転移できない。あれば別の次元の自分を見たいものである。
 そこで、今いる次元で、マルチバースを観察するにはどのようにすればよいのであろうか。
 図にマルチバース的な存在を示す。図はスパゲッティをゆでている際の鍋から噴き出る泡である。スパゲティは塩を入れるため、ゆでている際にはこのような泡ができやすい。Aという宇宙(泡)は、我々銀河系が存在する宇宙として、そこから10の1028乗 m離れたBという宇宙(泡)には、「もう一人のあなた」がいるかもしれない。すなわち、Bという宇宙(泡)の中の「あなた」は、今の次元とは異なる「あなた」の人生を送っている。さらに、10の10118乗 m離れたA’という宇宙(泡)には同じ「あなた」がいるかもしれない。
 多次元の宇宙は互いに影響を及ぼすとの報告もある2)。少なくともスパゲッティをゆでている際の泡は、スパゲティをおいしくゆであげる作用がある。

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図 スパゲッティをゆでる際のマルチバース的な存在

1) テグマーク, M: 並行宇宙は実在する. 別冊日経サイエンス 186, 8-21, 2012.
2) Hall, MJW. Deckert, D-A. Wiseman, HM: Quantum Phenomena Modeled by Interactions between Many Classical Worlds. Phys Rev X 4, 041013, 2014.



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