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題名:普遍性のある音楽について
報告者:ゴンベ

 現在の音楽の状況について述べることは非常に難しい。ジャンルという様々な分類分けもその一理にあるが、それ以上に音楽には個人(聞き手)の考え(経験)が加わるゆえに、近年の音楽の多様性が足かせとなり、その括りで最終的には個人がその音楽を好きか否かに、すべての選択権が委ねられている。その背景には、レコード、CDといったアルバムではなく、一曲一曲をダウンロードできるような音楽業界の変遷もあろう。しかしながら、スマートフォン、あるいはiPodといった個人でのデジタル時代特有の音楽再生の機器が当たり前となった現代では、その機器には個人の好みの曲のみが収集されていることは間違いない。このメリットには、個人の考えに基づく個人的な音楽の良し悪しの基準によって音楽が選定されるが、デメリットには、その個人が知る音楽の限界となり、好きではない、あるいはあまり好きではないといった音楽は、無視される(知らない)傾向が生まれる。古い時代、ラジオが家庭に一台しかなかった時代を考えると、音楽を取捨選択できる余地はなく、ラジオから流れる音楽のみが各個人の好みとして定着せざる追えない状況であった。その時代を振り返れば、好き嫌い関係なくその音楽に対して年代相応の一定の音楽への思い入れが生じることとなり、音楽に関して世代間の共通した経験知となる。これはこれで意味があった。
 ここでは、今からの新たな世代も含めた世代間を超える音楽の共通理解に繋がる要素は何かを考えたい。さらに、個人でも音楽にとって何に普遍性があるかを検討したい。それによって年代とは関係のない音楽について、ある音楽の普遍的な点に関して、建設的な意見を述べることできると思われる。
 それでは、音楽の普遍的な点とはなんであろうか? 音楽の内在要素を調べると、音源やテンポ・リズムにその普遍性が見て取れる。それは誰でもが知覚上で一致しやすい要素だからである。メロディは時代での変化が避けられない。ジャンルで見ると、クラシックと言われる古くからの音楽であれば、いかにその作曲家が伝える音楽を忠実に再現できるかによって評価が分かれ、少なくともクラッシック界ではあまりにも個人の考えに基づいて編曲されたクラシック音楽は非難されやすい、すなわち、原曲の作家の意図を超えることができない暗黙の了解がある。一方、アレンジをよきことと思うジャス界などでは、個人の思想(アレンジ)が重要視され、原曲の作曲家よりもむしろ演奏者の解釈に重きが置かれる。ポップスであれば、演奏する際はアレンジ自体は少なくなるが、リミックスなどによって原曲とは異なる様相を呈することができる。
 それでは、普遍性のある音源とテンポ・リズムには何があろうか? 音源は楽器により生まれる。しかしながら、楽器ではないが、声はまず最初の音源となるであろう。また、最古の楽器はテュービンゲン大のニコラス・コナード博士らが発見した骨を利用したフルートであることが分かっている1)。そのため、声とフルート様の管楽器が最も普遍的な音源になろう。次にテンポ・リズムであるが、これについては生体を探る。ヒトの心肺蘇生法において100回/分以上の心臓マッサージが必要であり、イリノイ大学のデイビッド・マットロック博士らによれば、103拍/分のあるBee Geesの「Stayin Alive」に合わせることが有効であるらしい2)。このことから、テンポ・リズムはBPM100前後が普遍的になろうか。これらのことから、声とフルート様の管楽器の音源があり、かつBPM100前後のテンポ・リズムの音楽は普遍的になりやすいかもしれない。

1) http://www.nature.com/nature/journal/v460/n7256/full/nature08169.html (閲覧2015.10.2)
2) http://grandriverhealth.org/2014/12/22/stayin-alive-a-community-cpr-training-project-by-david-taussig-li ndsay-jacox-and-lynda-steinbach/ (閲覧2015.10.2)



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