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題名:哲学的ゾンビという言葉をきっかけに、脳内の禅問答的なパンデミックを思索する
報告者:ダレナン

 哲学的ゾンビ(Philosophical Zombie)。この言葉だけでも、十分に面白い。映画のゾンビやTVのウォーキングデッドの深読みを好む人なら、なおさらであろう。絶妙な語の組み合わせである。
 哲学は崇高な、あるいは、高尚な学問のイメージがある。それに対して、ゾンビは恐ろしい、あるいは、パンデミック(*)なイメージがある。そのため、哲学的ゾンビという言葉には、相反する内容のイメージを持っていることになる。その言葉を提唱したのはオーストラリア国立大学の教授で、かつ、同校の意識研究センターのディレクターであるデイヴィッド・チャーマーズ博士であるが、氏によると哲学的ゾンビとは2)、

「外面的には普通の人間と全く同じように振る舞うが、内面的な経験(現象的意識、クオリア)を全く持っていない人間3)。ただし、罪悪感の希薄な人や、冷たい人、等の人間の性格を表す言葉ではなく、精神疾患を意味する精神医学関連の用語でもない4)。」

とされている。端的に言えば、人間 – 現象的意識(クオリア) = 哲学的ゾンビとなる。しかしながら、その存在は確認できないために難解さが伴う。さらに、クオリア(qualia)とは、日本語で感覚質と訳され、客観的には観察できない意識の主観的な性質のことを指すが5)、こちらもその存在が科学的に露わになっていない。そのため、哲学的ゾンビも、クオリアも、分かりたいのに、分からない、されど、分かったようで、分かっていない、この辺の禅問答(**)的な要素が、その言葉により一層の興味をもたらす。
 これと同じように、今までの観念では理解しがたい組み合わせが生まれると、多くの人は混乱する。しかしながら、その混乱さが絶妙にマッチングしていると、逆に興味ももたらされる。例えば、アイドル的メタル、あるいは、メタル的アイドルの代表とも言えるベビーメタル(BABYMETAL)は、哲学的ゾンビと同じように相反する内容のイメージの組み合わせである。アイドルなのにヘビーメタル?、あるいは、ヘビーメタルにアイドル?、となる。このイメージを味覚で問えば、激辛に、激甘の要素が組み合わさった状態になるであろうか。激辛的な激甘、あるいは、激甘的な激辛である。激辛的な激甘・激甘的な激辛であってもそのマッチングが絶妙な料理であったならば、それを食べると、相反する味覚に明らかに脳は混乱するが、絶妙さにいつしか踊らされる。いつの間にやら、それに虜(中毒)になる。
 哲学的ゾンビ、アイドル的メタル、激辛的な激甘、どれも理解しがたく、分かりたいのに、分からない、されど、分かったようで、分かっていない。まさに脳内に禅問答(**)的なパンデミック(*)が起こる。

*:感染症の全国的・世界的な大流行をいう。爆発感染などとも表現される1)
**:真意がとらえにくい問答・会話6)
1) https://kotobank.jp/word/パンデミック-188271 (閲覧2016.4.28)
2) http://www21.atwiki.jp/p_mind/pages/74.html (閲覧2016.4.28)
3) http://www21.atwiki.jp/p_mind/pages/37.html (閲覧2016.4.28)
4) https://ja.wikipedia.org/wiki/哲学的ゾンビ (閲覧2016.4.28)
5) http://www21.atwiki.jp/p_mind/pages/67.html (閲覧2016.4.28)
6) https://kotobank.jp/word/禅問答-551385 (閲覧2016.4.28)



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