題名:りんごがゾウを食べるイワカン
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.805の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
先の報告書では人工知能(AI)による短編小説の執筆状況を調べるとともに、現在では文献1)にその作例があるように違和感のないレベルまでに執筆が可能となったことを示した。ただし、実際の執筆は、情報の記録すべてに渡ってAIが文章化したのではなく、それを素材として小説を作ったという方が正確であり1)、借文という考え方によりAIに執筆させている2)。すなわち、ゼロからではなく、基本的な例文から似たような文章を持ってきて、作家の文体をモチーフに文章を構成している2)。そのため、この文書がある作家の文体によく似るのは当たり前でもあり、AIによる新奇の文章であっても、その作家と似ていること以上の作品に仕上がることはまだ難しい。実際は、文献1)の作例も、最終的な文の校正は人的に行っており3)、その辺のAI能力の限界も感じられるも、現在ではある作家と似ている文章を創造できたという点で違和感はない。
ここで視点を変えて、違和感をイワカンとする。イワには、先の報告書でも図示したように、違和だけではなく、岩もある。すると、岩感となる。感は勘もあろうか。そして、ワカンを単にヤカンと間違えると、い(ぃ)ヤカンともとれる。列挙すると「違和感 イワカン 岩感 い(ぃ)勘 い(ぃ)ヤカン…」となる。先の報告書ではイワカンを岩感として匂わせたが、この感覚的な匂いが分かった方はい(ぃ)勘の持ち主かもしれない。ただし、AIにこれは伝わらない。なぜなら、現時点のAIは自分が執筆した小説が面白いと判断できず、文章を書き出せてもその内容を理解することができないからである4)。さらに、コンピューターではあくまでも文字や言葉は記号としてしか理解していないのは言うまでもない4)。ゆえに、い(ぃ)勘でもって、イワカンからお茶を沸かす突飛なイメージをAIは持てない。逆に言えば、紋切的な処理が、今のAIの方向づけしやすい能力であり、その点では、こと文章執筆に関して扱えば、ニュース記事などの紋切り型がAIの得意な処理として発達することになろうか。
ただし、このような紋切的な処理は、AIだけではなく、人間も頭が固くなると生じやすい。例えば、「ゾウはりんごを食べる」は当たり前であっても、大人になると「りんごがゾウを食べる」は、バッテン(×)となる。「ばってん、おいどんは、そげんことなかぁ~」と頭の柔らかさを強調したとしても、Attack of the Killer Tomatoes(図)が全世界でB級映画として君臨している以上は、りんごががゾウを食べるイメージは、大人間では容易に定着しない。このことから、「りんごがゾウを食べるイワカン」のようなB級的な思考は、歯垢的な思考として、大人になるとその扱いが除去されやすい。
図 Attack of the Killer Tomatoes5)
1) https://virates.com/society/53176262 (閲覧2018.5.21)
2) http://ascii.jp/elem/000/000/735/735978/ (閲覧2018.5.21)
3) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2016/jisedai_tizai/dai4/siryou2.pdf (閲覧2018.5.21)
4) https://www.internetacademy.jp/it/programming/ai/ai-become-novelist.html#chapter2 (閲覧2018.5.21)
5) https://en.wikipedia.org/wiki/Attack_of_the_Killer_Tomatoes (閲覧2018.5.21)