題名:Mark Levinson氏への憧れとアンプ作り
報告者:ログ
近年は、スマートフォンの普及率が50%近くとなった(No.157)。そのため、音楽も手元の小型の機器から簡単に聞くことができるようになった。一世代、もしくは、二世代前であれば、この手元で音楽再生ができる機器に、SonyのWALKMANがあった。ある意味、このWALKMANが、音楽再生の歴史を変えたターニングポイントたる製品であることは、ある世代以上の人であればどなたでもご存知であろう。もちろん、Sony製、ゆえにMade in Japanである。しかしながら、昨今のSHARPをはじめとして1)、日本のメーカーの赤字状態を聞くにつれ、明るい話題が非常に少なくなった。企業も現状を維持するだけが精いっぱいで、未来のある製品作りをする勢いがなくなった。特に、大企業にその傾向が強い。小さな独創的なメーカーのみが、日本の将来を担っているような感もある。残念ではあるが、決断力と実行力、それに見合うような独創性のない企業が衰退するのは、過去の歴史が示す通りである。なんとか日本のメーカーには頑張ってもらいたい。
スマートフォンなどの機器で、手元で簡単に音楽が聴けるのは、非常に素晴らしいことである。しかしながら、それ以前の音楽再生は、大きなコンポでもって再生するのが当たり前であった。そのため、プレーヤー(CDやレコードなどの音源を再生するための機器)、アンプ(プレーヤーにより入力された信号の増幅や切り替えを行う機器)、スピーカー(音を再生するための機器)は、オーディオにおける3装置と言われ2)、これらが揃わないと音楽が再生できなかった。その中でも、プレーヤーは完全に自作することが構造上、難しいものであったが、アンプ、スピーカーに関しては自作にチャレンジする方も多かった。筆者もその一人ではある(ただし、筆者の場合は金欠がその元であるが…)。そのような自作派の人にとって、海外を中心とした輝かしいアンプやスピーカーが掲載されているオーディオ雑誌を眺めては、ため息をつくことが多かったが、中でも筆者が憧れたのは、標題のMark Levinson氏とNo.35にあるFranco Serblin氏である。メーカー名に自分の名を記すことに、そのオーディオへの情熱が伺われた。ここでMark LevinsonのNº383 Integrated Amplifiersの内部構造を図に示す。大きなトロイダルトランスに、これまた大きな電解コンデンサー、左右対の基盤の構成に小宇宙を感じるのは筆者だけではないであろう。
日本ではこのようなベンチャー的なオーディオ企業は少ないが、窪田登司氏、金田明彦氏、長岡鉄男氏をはじめとして自作派にとって神様のような存在の方がいた。それが、なによりである。お三方とも、海外に生まれていれば、Mark Levinson氏やFranco Serblin氏と言った独創的なオーディオ企業のよきライバルになったと思える。窪田氏による「半導体アンプ製作技法」は、自作派としての筆者のバイブルであり、そういう点で、筆者は「窪田派」であろう。
図 Mark Levinson Nº3833)
1) http://www.nikkei.com/markets/company/index.aspx?scode=6753 (閲覧2016.2.10)
2) http://www.jazz.co.jp/audio/seminar2.html (閲覧2016.2.10)
3) http://old.marklevinson.com/Products/Details/33 (閲覧2016.2.10)
4) 窪田登司: 半導体アンプ製作技法. 誠文堂新光社. 1995.