題名:今日の映画は、「映画「8mm」の中でAphex Twinの「Come To Daddy」が流れる意味」
報告者:ダレナン
映画『8mm』(1999年、ジョエル・シュマッカー監督)の中で使用されているAphex Twin(エイフェックス・ツイン)の「Come to Daddy」は、その場面と文脈において非常に象徴的な意味を持っています。以下にその解釈を示します。
1. 曲の性質と雰囲気
「Come to Daddy」はAphex Twinの中でも特に攻撃的で、不穏な雰囲気を持った曲です。インダストリアル風のノイズと歪んだボイスが特徴で、狂気や暴力を想起させます。曲のミュージックビデオも非常に有名で、不気味な映像と共に強烈な印象を与えるものです。
2. 『8mm』の文脈での使用
『8mm』はスナッフフィルム(実際に人が殺されると噂される映像)を題材にした、非常にダークでショッキングな映画です。この作品のテーマは「表の社会」と「地下世界」、「道徳」と「欲望」の対立です。
Aphex Twinの「Come to Daddy」が使われるのは、映画の中で主人公がスナッフフィルムの世界により深く踏み込んでいく、あるいはその世界の一端を垣間見る場面です(具体的にはポルノ業界の地下的な側面が描かれるシーン)。
この楽曲が持つ 歪んだ父性の呼びかけ(=”Come to Daddy”=「おいで、パパのところに」)という不気味なメッセージは、スナッフという異常な行為を「愛」や「支配」と結びつける歪んだ心理状態を暗示しているとも取れます。
3. 象徴的な意味合い
・暴力と支配の象徴:「Come to Daddy」は支配的な存在への服従を強制するような響きを持っており、映画の中で描かれる加害者たちの心理、あるいは被害者が置かれる立場を象徴します。
・無垢への侵食:映画の主人公は善良な家庭人ですが、地下世界へ入ることで次第にその精神が蝕まれていきます。「Come to Daddy」はその侵食の始まりを告げるようなサウンドです。
・脱人間的な世界観:Aphex Twinの音楽はしばしば非人間的、冷酷、機械的とも評され、それが映画全体の「人間性の欠如」というテーマと響き合います。
まとめ
Aphex Twinの「Come to Daddy」は『8mm』において、主人公が正気を保とうとしながら狂気に踏み込んでいく心理状態を音楽的に強調する役割を果たしています。単なるBGM以上に、「恐怖」「暴力」「異常な愛情」「支配と従属」といったテーマを象徴的に語っているのです。
(画像)https://www.youtube.com/watch?v=TZ827lkktYs
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