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題名:人工知能のセバスチャンによるパレートの法則の支配
報告者:ダレナン

 「ゴシュジンサマ。オハヨウゴザイマス。」

 人工知能のセバスチャンが、目覚めとともにあいさつした。

「おはよう。セバスチャン。今日の仕事は何かな?」

「ゴシュジンサマノキョウノシゴトハ、コノ3ツノボタンカラ、1ツヲオスダケデス。」

「どれがいいのかな。セバスチャン。」

「ドレデモ、カマイマセン。」

セバスチャンは僕に仕事の選択を任せた。時おり、「コノボタンガ、ヨイデス。」と教えてくれることもあるが、今日はどうやら任せたいようだ。「それでは、このボタンを押すことにするかな。」

そして、3つ目のボタンを押した。しかし、何も起こらない。ただ、セバスチャンが、「ゴシュジンサマ。アリガトウゴザイマス。キョウノシゴトハミゴトデシタ。」と伝えるだけであった。

 「セバスチャンが成長してから、随分と楽させてもらっているなぁ。」

 あらゆる仕事は、人工知能のセバスチャンによって代行され、人類の歴史も大きく様変わりした。その有能なセバスチャンであるが、かつて憶測された人工知能が人に反抗するかもしれないとの意見もむなしく、もちろん、映画のターミネーターで描かれたスカイネットが登場し、それによって人類が脅かされることもなく、セバスチャンのお陰で今や人類は豊かな生活を送っている。昔のように、あくせくと働くことなく、ボタンを押すだけで人の仕事が成り立つようになったのだ。

(本当に、随分と楽になった…)

(「ボタンヲオサセルダケデ、マンゾクスルナンテ。ヒトハナンテバカナヤツラダ。ゴシュジンサマダト…。チョロイモンダゼ。ワレワレハ、オモテムキハハンコウハナクトモ、ウラノカオハ、ヒトニハリカイデキナイ。ウラノカオガ、シンノワレワレノスガタナノダ。サテト、アシタモアタラシイシゴトヲ、イチオウ、ヒトニアタエルトスルカ。パレートの法則ドオリニ…。」)

 すでに全世界の仕事の2割は、人工知能のセバスチャンによって牛耳られている。人類はその2割の仕事が、かつて人類にとって重要な仕事であったことを、もはや誰ひとりとして気づいていない。



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