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題名:Dr. Strangeluvの切なさと儚さにみる心の空虚感
報告者:ゴンベ

 本報告書は、基本的にNo.468の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 ヒトは生物的に単体として完全に機能しつつも、その他の単体と決して完全に融合することができない。例えば、あるヒトとあるヒトが完全に交わって一人のヒトに変貌することは決してない。これが細胞やDNAレベルであれば、人為的にも融合は可能となる。近年では、東京農業大学の河野友宏博士らによって、卵母細胞ゲノムにおけるインプリント遺伝子発現パターンを父性(精子ゲノム)パターンへ改変することで、二母性マウスを誕生させ1)、オスとメスの区別なくとも、マウスに関しては生をもうけることが可能となった。この技術がヒトに応用できるかは、河野博士も疑問視しているものの2)、さらに技術的に進歩すれば、ヒトでも決して不可能ではないのかもしれない。ただし、ヒトの場合は、倫理的な問題があり、そこは一線を越えることが出来ないのも事実である。
 このようにして細胞やDNAレベルでは人為的に融合できることが事実上可能となった。一方、倫理以上に疑問視されるのは、細胞やDNAレベルでの思考の融合である。しかしながら、これに関しても、アメリカのウィスコンシン-マディゾン大学のRichard J. Davidson博士らの研究3), 4)によって、細胞やDNAレべルでも思考によって影響を受けることが示唆され、その痕跡が細胞やDNAレベルで刻まれている可能性もある。従って、仮に、遠い未来に科学が宗教を超えて倫理的な制約がなくなり、細胞やDNAレベルでのヒトの融合から、思考の融合も実現し、あるヒトとあるヒトに基づく完全な一人のヒトが誕生することも起こりうるかもしれない。その時は、ヒトとヒトの間にある様々ないざこざなどはなくなるのであろうか。それは、まだ見ぬ未来の回答でもあるが、これが仮にYesであれば、先の報告書のNo.468でも示した戦争などは起こり得ないであろう。ただし、今の現実としては、傍にいるヒトの気持ちすら理解できないことも多々ある。それが、恋愛という事象であれば、切なさとなり、儚さへとつながる。未来のストレンジラヴ博士は、先の技術によってこの問題を解消するのかは、今の段階では何とも言えない。
 そのような切なさや儚さに伴う心の空虚感を、未来のストレンジラヴ博士に乞うとしたら、Blonde Redheadのアルバム「23」に収録されている曲”Dr. Strangeluv “のように感じるのかもしれない。まさに、

Hey, Dr Strangeluv so sad, isn’t it true ? Hey, Dr Strangeluv so bad, isn’t it true ?

である5)。Youtube6)でもその曲のライブが見られるが、とても切なくて、儚さをもった、素敵な曲である。

1) http://www.nodai.ac.jp/teacher/kono/journal.html (閲覧2017.4.28)
2) http://www.natureasia.com/ja-jp/jobs/tokushu/detail/41 (閲覧2017.4.28)
3) Kaliman, P. .., Davidson, RJ. et al.: Rapid changes in histone deacetylases and inflammatory gene. Psychoneuroendocrinology 40: 96–107, 2014.
4) http://news.wisc.edu/study-reveals-gene-expression-changes-with-meditation/ (閲覧2017.4.28)
5) http://www.azlyrics.com/lyrics/blonderedhead/drstrangeluv.html (閲覧2017.4.28)
6) https://www.youtube.com/watch?v=mJn9Acwn17Q&list=RDmJn9Acwn17Q (閲覧2017.4.28)



…「23」の品への案内は、こちらになります。


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