題名:Don’t live a life full of plans -PDCAサイクルの罠-
報告者:ダレナン
本報告書は、基本的にNo.437の続きであることを、ここで前もってことわりたい。
報告書のNo.436にて、現在、企業でよく実施されるサイクルのPDCAについて再考し、No.437にてDDD戦略について検討した。また、No.436でも指摘したが、人間は神の計画に基づいて誕生されたと思えるも、進化をなぞると、現在の地球上での人間の立場は計画に基づいて君臨しているのではなく、あくまでも進化上の適応による。そこに、意味がある訳ではなく、意味は後付けされて考え出されたものである。そもそも、神自体も人間の思考が生みだした後付けでもある。
オーストリアの精神科医であり、心理学者であったヴィクトール・エミール・フランクル博士は、ナチスによって強制収容所に収容された壮絶な体験を持ち、さらに、そこでの体験をもとに名著「夜と霧」1)を記した。そして、その中で、人生の意味について、こう説いている。「生きることの意味を問うことをやめ、…中略…、ひとえに行動によって、適切な態度によって、正しい答えは出される。」。すなわち、PDCAサイクルとしてPを問うてDすることは、もっともらしいと思えども、正しい答えはいつもDから導き出される。
なまじ人間には、他の動物にはない思考力と記憶力がある。それゆえ、思考力と記憶力を駆使しているかの如くPすることは、その後の未来を見通せるに違いないと勘違いしやすい。しかしながら、最終的には行動によるDに基づく適応結果が、よき答えを見出すことは、常に計画できない人間の直感力からも納得いく。
これを企業の立場ではなく、旅行として考えてみる。綿密に計画を立て、その通りに実行した旅行、PDCAサイクルに忠実な旅行は面白みがなく、本当の意味での旅行の醍醐味が味わえない。Pによって枠が狭まられている罠が潜んでいたからである。しかしながら、計画はあくまでも一計画に留め、臨機応変にその旅行を楽しむ、すなわち、その場その場でDDD戦略を用いることで、その旅行が新たな発見が生じるとともに、後の後付けで、その時の意味も見出せる。その意味は、「ひとりひとりの人間を特徴づけ、ひとつひとつの存在として意味をあたえる」1)一部分改変こととなる。
図は写真家Kinga Cichewicz氏の写真であるが、氏はドイツ在住と思しきことから2)、ポルトガルで撮影されたこの写真は、きっと氏の旅行での一場面に違いない。そして、この写真には、「Don’t live a life full of plans. Sometimes the greatest moments happen unplanned. And the greatest occur from not reaching what is planned. (計画に満ちた人生を生きてはいけません。場合によっては、最大の瞬間が計画外に起こる。 そして、それは、計画されているものに到達しないことから起こりうる)」2)と添えられている。まさに、計画外の旅行での自己の新しい発見が、この
図 Kinga Cichewicz氏の写真2)
窓の発見を通して導き出されたことを暗示している。そう推測できる写真である。
1) フランクル, VE: 夜と霧. みすず書房. 2002.
2) https://unsplash.com/photos/PvCO2IXlXBs (閲覧2018.3.26)