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題名:ハムスターにおけるランナーズハイを考える
報告者:ダレナン

 ハムスターは哺乳類のげっ歯類の一つであり、比較的大きな前歯を持つも、哺乳類といえども小型であり、かつ、体には大きな力など特別な能力もなく、ライオンなどのような捕食者(*)ではない。そのため、哺乳類の中では常に被食者(*)としての立場にある。歯があっても、それを攻撃として使うこともほとんどない。ペットとして飼っている時、時おり噛まれるとの報告はあるも、その理由は、敵への撃退目的ではなく、ストレスに原因があるとされる2)。それゆえに、攻撃力をほとんど持たないハムスターは、他の大型哺乳類だけでなく、その他、爬虫類のトカゲや鳥類の鳥などにも簡単に被食され、自然界におけるハムスターは間違いなく捕食者 被食者である。その立場から、日中の生活の多くは、巣穴の存在し、夜になると活動する。  飼っているハムスターであれば、夜の活動は回し車が中心となる。そのため、日中に活動する人に対して、夜活動するハムスターのために、静音回し車(サイレントホイール)も開発されている。回し車の音が出る・出ないに関して、ハムスター自身はどのように捉えているのかは分からないものの、ハムスターにおける回し車の意義については報告書のNo.280で記載したようにハムスターの幸福にも繋がる。一方で、人のランニング時にも得られるランナーズハイと同様な現象も回し車好きのハムスターにも起こっているのかもしれない。そこで、ここでは、ハムスターにおける回し車によるランナーズハイについて考えたい。  人も近年の健康ブームもあり、それに後押しされるように、マラソン大会も各地で開かれるようになった。さらに健康ブームだけではなく、マラソンブームともいえるような様相までに発展したが、ランニングするとハイになる現象にもやはり一理あるのであろう。ランナーズハイとはランニングに伴うランナーの精神の高揚感を指すが、ことネズミにおいては、そのランナーズハイのメカニズムが解明された。  モントリオール大学のMaria Fernanda A. Fernandes博士ら3)によれば、ランニングなどの活動時に体内のエネルギー貯蔵の管理にかかわる働きを持っているレプチンが減少し、それによって脳の快楽中枢に飢饉信号が送られる。それがランナーズハイに至るメカニズムとされている3), 4)。それを図に示す。実験はネズミであるが、ハムスターも間違

図 ランナーズハイのメカニズム5)

いなく、同じである。夜通し回し車で走っているハムスターは、間違いなくランナーズハイ状態に陥っているのであろう。それは幸福の仕事(No.280)かもしれないが、まさに、ハイ「いい仕事していますねぇ~」。

*: 諸種の動物間において,ライオンがキリンその他を、ネコがネズミを、またカマキリが小昆虫を食うように、一方の動物が他の動物を捕え食う場合の前者を指していう。後者は被食者である1)。
1) https://kotobank.jp/word/捕食者-133091 (閲覧2017.10.15)
2) http://ham-ham-ham.com/kamu.html (閲覧2017.10.15)
3) Fernandes, M. F., Matthys, D., Hryhorczuk, C., Sharma, S., Mogra, S., Alquier, T. and Fulton, S.: Leptin Suppresses the Rewarding Effects of Running via STAT3 Signaling in Dopamine Neurons. Cell Metab 22: 741-749, 2015.
4) http://gigazine.net/news/20150915-running-makes-you-happy/ (閲覧2017.10.15)
5) http://www.cell.com/cell-metabolism/abstract/S1550-4131(15)00394-0 (閲覧2017.10.15)



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