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題名:美しさを感じる脳内の黄金率
報告者:アダム&ナッシュ

 本報告書は、基本的にNo.594の続きであることを、ここで前もってことわりたい。

 先の報告書にて、顔の認識における脳内の2つの系統について示すとともに、顔の表情の特徴は脳内にある約200個の細胞の集団によってコード化されていることを示した。さらに、絵画で美しいと感じる際には、脳内の眼窩前頭皮質(orbito-frontal cortex)が働くことを報告した。ここでは、その美しさを感じる脳内の秘密について探り、美しいと感じる比率である黄金率との関係について迫りたい。
 報告書のNo.329にて、我々は、脳内の人の顔の印象に対する黄金比率について触れた。顔ではないが、ギリシアのルネサンス時代におけるポリュクレイトスの全身像の画像を用いて、黄金率をもつ場合と、それ以外の場合の3種の画像の印象に対する脳内の変化を、イタリアのパルマ大学のCinzia Di Dio博士ら1)が研究した。その研究によれば1)、明らかに黄金率を持つ画像に対して、脳内の島皮質(Insura)が活動したことを報告している。さらに、主観的な美しさに対する判断を求めると、扁桃体(Amygdala)も活性化したことを報告している。先の報告書のNo.594でも指摘したが、島皮質、扁桃体ともに人の顔の認識において、特に感情に基づく際にその系統が利用される。その上、顔の魅力に関する脳内での変化を観察したユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのJoel S. Winston博士ら2)によると、顔の魅力として示される顔の報酬価値を調べると、眼窩前頭皮質(orbito-frontal cortex)から扁桃体にかけて明確な活動パターンがあったと報告されている。これらのことから、島皮質、扁桃体、眼窩前頭皮質の領域において、ある顔を美しいと感じる黄金率的な規定が備わっており、それが報酬、いわゆる快の感覚になっていることも理解できる。言い換えれば、顔に関してのみこの感覚を捉えると、美しい顔を見ることは、見る側の感情の喜びにも繋がることになる。ちなみに、世界で最も美しい顔100人を選出しているアメリカのTC Candler氏3)によれば、2014年、2015年と2年連続で韓国の女性歌手グループ、AFTERSCHOOLの歌手の一人であるNANAさんを選んでいることは記憶に新しい。NANAさん

図 NANAさんの画像4)

の画像を図に示す。これによる具体的な脳内の精神活動を知ることは即時的には難しいものの、多くの人はこのNANAさんの画像で”美しい”という感情を手に入れる(脳にインプットする)ことができるかもしれない。

1) Di Dio C, et al.: The Golden Beauty: Brain Response to Classical and Renaissance Sculptures. PLoS ONE 2: e1201. 2007.
2) Winston JS, et al.: Brain systems for assessing facial attractiveness. Neuropsychologia 45:195-206, 2007.
3) https://ja.wikipedia.org/wiki/最も美しい顔 (閲覧2017.9.6)
4) https://www.pinterest.jp/pin/387802217894995919/ (閲覧2017.9.6)



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